クールな身代わり王女は、騎士の熱愛に気づけない
「犯人を見た!?」
 ノキアが驚くと、セイラは頷きながら、さらに声を張った。

「ええ。多分、アルバート王子よ。アイゼンブルグの」
「あいつか……!」
 ノキアとデュランが、声を合わせて舌打ちした。

「それで、その……。案内役なのじゃが……」
 大臣は、言葉を渋らせる。

「はいはーい、わたしが行きまーす!」
 セイラが、元気よく手を上げた。

「……ということなのじゃ」
「……ということ、って、どういうことですか! 王女を危険な目に合わせるわけには……!」
 ノキアが勢いよく机を叩いた振動で、置かれていたお茶がこぼれた。

「それはワシもわかっておる! しかし、アイゼンの城をよく知る者は、姫様しかおらんのじゃ……」
「わたし、アイゼンには子供の頃から遊びに行っていたから、庭みたいなものなのよね」
「もちろん、書類も大切じゃが、姫様の命が最優先じゃ。姫様になにかあるようであれば……その時はお主らも覚悟をするのじゃぞ?」
 大臣の目が、ぎらりと光った。

「もう! 大臣ったら、脅すことないでしょ! じゃあ、早速作戦を練って行きましょ」
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