クールな身代わり王女は、騎士の熱愛に気づけない
セイラは、大きな図面をテーブルの上に広げた。アイゼンブルグ城の簡易見取り図だ。誰かが記憶を頼りに手書きしたようだが、滅多に手に入らない城の見取り図は、手書きでもないよりマシだった。
セイラが、簡単に説明していく。隠し通路まで書き込んであるということは、この手書き図は、セイラが書いたものだろうと推測できる。
「重要書類が隠してあるとすれば、多分この部屋よ。昔、金庫がたくさんあったのを覚えているわ」
セイラは、一番東にある広い部屋を指した。城の出入り口からかなりの距離があるし、ぐるりと迂回しなければいけない道のりだ。この距離を、どうやって相手に見つからずに往復するかが問題である。
「そうねぇ……。こういうのはどうかしら? 先日の非礼を詫びに来ましたって、堂々と入っていくのよ。ノキアとデュランは、護衛ということで……ね?」
「うむ。その方が怪しまれずに済みますね」
デュランが納得した。
「わたしが王子の注意を引き付けて、その間に二人が書類を奪い返す……というのでもいいんだけれど、問題は金庫の開け方を、わたしとアイゼンの一部の者しか知らないということなのよねぇ」
金庫の開け方まで知っているとは、昔どのような遊びをやっていたのだろうかと疑問に思う。
「と、すると?」
「王子の引き付け役は、わたし以外の誰かにやってもらうしかないということで……。ねぇ、ノキア?」
「…………はい?」
向けられた意味ありげな視線に、ノキアは目を瞬いた。
セイラが、簡単に説明していく。隠し通路まで書き込んであるということは、この手書き図は、セイラが書いたものだろうと推測できる。
「重要書類が隠してあるとすれば、多分この部屋よ。昔、金庫がたくさんあったのを覚えているわ」
セイラは、一番東にある広い部屋を指した。城の出入り口からかなりの距離があるし、ぐるりと迂回しなければいけない道のりだ。この距離を、どうやって相手に見つからずに往復するかが問題である。
「そうねぇ……。こういうのはどうかしら? 先日の非礼を詫びに来ましたって、堂々と入っていくのよ。ノキアとデュランは、護衛ということで……ね?」
「うむ。その方が怪しまれずに済みますね」
デュランが納得した。
「わたしが王子の注意を引き付けて、その間に二人が書類を奪い返す……というのでもいいんだけれど、問題は金庫の開け方を、わたしとアイゼンの一部の者しか知らないということなのよねぇ」
金庫の開け方まで知っているとは、昔どのような遊びをやっていたのだろうかと疑問に思う。
「と、すると?」
「王子の引き付け役は、わたし以外の誰かにやってもらうしかないということで……。ねぇ、ノキア?」
「…………はい?」
向けられた意味ありげな視線に、ノキアは目を瞬いた。