クールな身代わり王女は、騎士の熱愛に気づけない
一方その頃、この城下に辿り着いた一組の男女がいた。旅人のようである。
男は背が高く黒髪の青年で、腰には使い込まれた剣が備えられている。女は、まだ少女だが、アイスブルーのショートヘアにきりりとした瞳である。
「ようやく町に着きましたね、お嬢様」
「……お嬢様と呼ぶな、と言っただろ、デュラン?」
少女は、むっとして言葉を返し、デュランと呼ばれた青年は、あわてて訂正する。
「失礼しました、ノキア殿。しかし、今日はどうやら祭りのようですね。宿が取れるかどうか、心配です」
「そうだな……。仕方がないが、一軒ずつ探すしかないな」
「もしはぐれたら、あの時計塔の下で落ち合いましょう」
デュランは、街の中で一番高い時計塔を指した。あれなら初めて来た町でも、どこにいても目標にできる。そして一歩前に進み、ノキアに手を差し出した。
「なに?」
「はぐれるといけませんので、手を」
「……ありがとう」
ノキアは、淡く微笑んでデュランの手を取った。
男は背が高く黒髪の青年で、腰には使い込まれた剣が備えられている。女は、まだ少女だが、アイスブルーのショートヘアにきりりとした瞳である。
「ようやく町に着きましたね、お嬢様」
「……お嬢様と呼ぶな、と言っただろ、デュラン?」
少女は、むっとして言葉を返し、デュランと呼ばれた青年は、あわてて訂正する。
「失礼しました、ノキア殿。しかし、今日はどうやら祭りのようですね。宿が取れるかどうか、心配です」
「そうだな……。仕方がないが、一軒ずつ探すしかないな」
「もしはぐれたら、あの時計塔の下で落ち合いましょう」
デュランは、街の中で一番高い時計塔を指した。あれなら初めて来た町でも、どこにいても目標にできる。そして一歩前に進み、ノキアに手を差し出した。
「なに?」
「はぐれるといけませんので、手を」
「……ありがとう」
ノキアは、淡く微笑んでデュランの手を取った。