クールな身代わり王女は、騎士の熱愛に気づけない
 廊下を走っていると、警備兵の別部隊がこちらにやってきた。ノキアは、柱と柱の間を器用に登り、警備兵の頭上でやりすごした。

「ふう、はやくデュランを探さないと……」
「ノキア殿」
「えっ?」
 驚き振り返ると、隣の柱の隙間で、同じようにデュランが登って隠れていた。

「セイラ殿はどうされた?」
「そ、それが……」
 柱を降りてノキアは今までの経緯を話し、セイラが傷つき、助けを待っていることを告げた。

「そうか……。あの王子がそこまで……。しかしノキア殿、あなたも怪我をしている」
 拳銃の弾をかすめたこめかみと、爆風で壁に強く打ちつけた左腕が、血で滲んでいる。

「足は大丈夫だ。走れる」
「そうですか、では、セイラ殿のところまでお願いします」
 ノキアとデュランは、セイラのところまで戻った。
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