クールな身代わり王女は、騎士の熱愛に気づけない
数日後、アルバート王子が訪問した。事件のことは公になっていないため、近くまで来たので挨拶に、という名目だった。
セイラが意識不明のため、変装したノキアが対応するしかなかった。お互い一礼した後、応接室に二人きりで、向かい合って座る。
しかし、王子はしばらくノキアの顔を見た後、鼻で笑った。
「なるほど。事件を公にしたくないのは、そちらも同じということか」
「……なに?」
ノキアは、警戒して王子から距離を取るように体を引く。
「王女になりすましているんだろう? ミタの剣士さん。そこまで僕もバカじゃあない。彼女のことは、幼い頃から見てきたからね。一度見比べれば、その表情や態度で別人だということはわかる。……それに、瞳の色が少し違う」
正体がばれてしまい、ノキアは手に汗を握る。
「だったら……どうする? 私の正体をばらすのか?」
ばれたらどうなるだろうかと、ノキアは不安になる。逃げ出してもいいのだが、ドレス姿では動きにくいし、そうなれば城の人間にも迷惑がかかるだろう。
すると、王子が明るく言った。
「話を聞いていなかったのかい? 事件を公にしたくないのはお互い様だと。セイラ殿も、それを望んでいるだろう」
王子は、肩をすくめた。少し嫌味を含んだ口調であった。
「おまえは一体、どうしたいのだ。セイラを愛していると言ったり、あんなとんでもないことをしたり……」
すると王子は立ち上がって、頭を深く下げた。
セイラが意識不明のため、変装したノキアが対応するしかなかった。お互い一礼した後、応接室に二人きりで、向かい合って座る。
しかし、王子はしばらくノキアの顔を見た後、鼻で笑った。
「なるほど。事件を公にしたくないのは、そちらも同じということか」
「……なに?」
ノキアは、警戒して王子から距離を取るように体を引く。
「王女になりすましているんだろう? ミタの剣士さん。そこまで僕もバカじゃあない。彼女のことは、幼い頃から見てきたからね。一度見比べれば、その表情や態度で別人だということはわかる。……それに、瞳の色が少し違う」
正体がばれてしまい、ノキアは手に汗を握る。
「だったら……どうする? 私の正体をばらすのか?」
ばれたらどうなるだろうかと、ノキアは不安になる。逃げ出してもいいのだが、ドレス姿では動きにくいし、そうなれば城の人間にも迷惑がかかるだろう。
すると、王子が明るく言った。
「話を聞いていなかったのかい? 事件を公にしたくないのはお互い様だと。セイラ殿も、それを望んでいるだろう」
王子は、肩をすくめた。少し嫌味を含んだ口調であった。
「おまえは一体、どうしたいのだ。セイラを愛していると言ったり、あんなとんでもないことをしたり……」
すると王子は立ち上がって、頭を深く下げた。