クールな身代わり王女は、騎士の熱愛に気づけない
9・婚約発表
翌日、ノキアは眠い目をこすりながら、デュランと共にパーティー会場である王城の中庭へ向かった。先日の祭典の時よりも人があふれ返り、正装の者ばかりだった。ノキアとデュランは、このパーティーの後すぐに出立するつもりだったので、旅の装いのまま隅の方で目立たないように立っていた。
セイラが昨夜言っていた「決めたことをパーティーで発表する」ということが、関係しているのかもしれない、とノキアは思った。
セイラや国王、王妃の姿はまだない。すると、階上のバルコニーから、セイラが姿を見せた。その後ろには国王と王妃、そしてなぜか、アイゼンブルグの王子までいる。
「あいつが、なぜ?」
ノキアは、訝しげにつぶやいた。
セイラの表情は、いつになく引き締まり、王女の顔をしていた。その姿を確認すると、皆静まり返った。
「みなさま。本日は、わたしのためにお集まりいただき、礼を申し上げます」
王女の言葉に、会場にいた者は一礼をした。ノキアだけが、心配そうに上を見上げたままだった。
「今日お集まりいただいたのは、他でもありません。わたしはここに、宣言いたします」
目を伏せるセイラを見て、ノキアは不安を隠せなかった。
しかし、そんな不安を無視するかのように、セイラは言葉を続けた。
「わたしは、アイゼンブルグのアルバート王子と婚約します」
「なんだって……?」
王女の宣言を聞いた一同は、各々声を挙げる。
ノキアだけが、納得できない顔をしていた。
「そういうわけですので、みなさん、これからもよろしくお願いします」
セイラの隣に立ったアルバート王子が、セイラの肩を抱き一同に向かって言った。
「嘘、だろう? セイラ、嘘だと言ってくれ!」
階下から叫んだノキアは、周囲の注目を浴びた。
「ノキア殿……!」
ここで騒ぎを起こしてはいけないと、デュランが止めに入る。
セイラは一瞬ノキアを見たが、すぐに視線を戻し、隣にいたアルバート王子を改めて紹介した。ノキアとセイラが入れ替わったパーティーの時とは打って変わり、セイラは王子を受け入れている。ノキアの知る、セイラの表情ではなかった。
ノキアは唇をかみ締め、いてもたってもいられずに会場を飛び出す。
セイラが昨夜言っていた「決めたことをパーティーで発表する」ということが、関係しているのかもしれない、とノキアは思った。
セイラや国王、王妃の姿はまだない。すると、階上のバルコニーから、セイラが姿を見せた。その後ろには国王と王妃、そしてなぜか、アイゼンブルグの王子までいる。
「あいつが、なぜ?」
ノキアは、訝しげにつぶやいた。
セイラの表情は、いつになく引き締まり、王女の顔をしていた。その姿を確認すると、皆静まり返った。
「みなさま。本日は、わたしのためにお集まりいただき、礼を申し上げます」
王女の言葉に、会場にいた者は一礼をした。ノキアだけが、心配そうに上を見上げたままだった。
「今日お集まりいただいたのは、他でもありません。わたしはここに、宣言いたします」
目を伏せるセイラを見て、ノキアは不安を隠せなかった。
しかし、そんな不安を無視するかのように、セイラは言葉を続けた。
「わたしは、アイゼンブルグのアルバート王子と婚約します」
「なんだって……?」
王女の宣言を聞いた一同は、各々声を挙げる。
ノキアだけが、納得できない顔をしていた。
「そういうわけですので、みなさん、これからもよろしくお願いします」
セイラの隣に立ったアルバート王子が、セイラの肩を抱き一同に向かって言った。
「嘘、だろう? セイラ、嘘だと言ってくれ!」
階下から叫んだノキアは、周囲の注目を浴びた。
「ノキア殿……!」
ここで騒ぎを起こしてはいけないと、デュランが止めに入る。
セイラは一瞬ノキアを見たが、すぐに視線を戻し、隣にいたアルバート王子を改めて紹介した。ノキアとセイラが入れ替わったパーティーの時とは打って変わり、セイラは王子を受け入れている。ノキアの知る、セイラの表情ではなかった。
ノキアは唇をかみ締め、いてもたってもいられずに会場を飛び出す。