昔私をいじめていた御曹司と再会したら溺愛されました〜夜空に咲く花火よりも綺麗な君の笑顔に恋をした〜
「私も嬉しい! おかえりなさい! 外部の学校に行っちゃった子もいるけど、大半は残ってるから、絶対皆喜ぶよ」

 そう言って抱きついてくる彼女に、私は胸に熱いものが広がっていった。
 おかえりと言ってもらえて、すごく嬉しい。

 お互いの顔を見合わせて笑うと、先生の咳払いが聞こえてきて、慌てて居住まいを正す。

 やば……。まだ式の途中だった……

 私が俯くと、次は先生にバレないようにあやめちゃんが小さな声を出した。


「結菜には嬉しくない情報だと思うけど、柚木和真もいるよ。今三年生で生徒会長をしているの。あ、あの人だよ」

 そう言って、あやめちゃんが壇上を指差す。
 式はちょうど来賓祝辞が終わり、在校生代表として生徒会長の祝辞が始まるところだった。

 本当に生徒会長だったんだ……

 はきはきと力強く歓迎の言葉を述べる彼は、私を虐めていた悪ガキには到底見えなかった。それに神社で再会したときのような申し訳なさげな表情でもなく、自信に満ちあふれていた。その姿を目を逸らさずジッと見つめる。


「さすがに昔みたいなことはないと思うけど、一応気をつけてね。できれば会いたくないでしょ」
「そうだね。うん、気をつける」

 もう会ってしまったとは言えず、心配してくれるあやめちゃんの言葉に、こくりと頷いた。
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