人生 ラン♪ラン♪ラン♪ ～妻と奏でるラヴソング～ 【新編集版】

　三人称神視点で紡いで、『自業自得』とタイトルを付けた瞬間、電車が急ブレーキをかけた。
　わたしは吊革に掴まっていたので大丈夫だったが、あのインサイダー男女は他の乗客にぶつかったあと床に倒れ込んで無残な姿を晒(さら)していた。
　男は膝を強く打ったようで思い切り顔をしかめていた。
　女は肘をすりむいたようで、べそをかいていた。
　しかし、周りの乗客は冷たい目で見ているだけで手を貸そうとする人は誰もいなかった。
　
　天罰だと思った。
　秘密情報を世間に晒した罰が当たったのだ。
　正に自業自得だった。
　わたしは彼らから目を離して窓の外を見た。