人生 ラン♪ラン♪ラン♪ ~妻と奏でるラヴソング~ 【新編集版】
 髪を乾かしてリビングに戻ると、妻が笑みを浮かべて迎えてくれた。
「だいぶ良くなったわね。誤字脱字もほとんどないし、なにより人物描写が具体的でわかりやすかったわ。背景にある葛藤とか悩みとかも理解できたし」
 おっ、今度は評価高そう、
 ちょっと浮かれた気分になったが、それは次の言葉でちょん切られた。
「でもね、読み終わった時の感じが、なんて言うか、ちょっと嫌なの」
 嫌って……、
「結局、仕返しでしょう。離弁が亜久台に〈ざまあみろ〉というだけの話よね。他人に唾を吐くようなエンディングでは楽しく読み終われないの」
 う~ん……、
「そうじゃなくて、心地良い余韻とか、どこか幸せな気分に浸れる余韻とか、そんなシーンや言葉で締めくくって欲しいの」
 そう言われても……、
「これもそうだし、最初のもそうだったけど、どっちも暗い話よね。コンプライアンス違反とパワハラ。それはそれで悪いわけではないのだけど、それで終わってしまっては物足りないのよ。だから、そこから先に意外なことが待ち構えているような展開が必要だと思うの。そしてそれが心地良い余韻で終わったら言うことがないと思うわ。次はそういうことに気をつけながら書いてみて」
 ねっ、というような表情を浮かべたあと、妻は微笑んだ。


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