人生 ラン♪ラン♪ラン♪ ~妻と奏でるラヴソング~ 【新編集版】
        ♪ 1976年~ ♪

 配属されたのは、東京支社広域量販課だった。
 東京を起点に全国展開しているスーパーマーケットへ営業活動を行う部署だった。
 
 自社商品のカテゴリーは主に練物(ねりもの)で、蒲鉾(かまぼこ)、ちくわ、さつま揚げ、はんぺん等、おでんの具材になる商品が多かった。
 その商品特性から売り上げは冬場に偏重し、尚且つ差別化が難しいため、競合メーカーがひしめいていた。
 だから、スーパーマーケットではチラシに乗せる目玉として安売りの対象になっており、バイヤーからは常に納入価格を下げるようプレッシャーを受けていた。
 そんな厳しい状況の中で与えられた仕事はスーパーの各店舗を回って売場を確保することだった。
 そのためには先ず、店長や売場主任と親しい関係になる必要があった。
 わたしは競合メーカーの2倍の頻度で訪問し、店長や売場主任との距離を縮めていった。
 と同時に、売場に立ってお客さんの購買行動をつぶさに調べた。
 何を買っているのか、何個買っているのか、どのメーカーのものを買っているのか、何と何を一緒に買っているのか、その調査結果を店長や売場主任に報告し、その上で売場提案を行った。
 
 
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