人生 ラン♪ラン♪ラン♪ ~妻と奏でるラヴソング~ 【新編集版】
「さあ、妻が待つところへ」
ビルを出て、傘を差し、最寄り駅へ向かった。
会社から卒業する日、その日は妻と食事をすることに決めていた。
地下鉄に乗って、表参道駅に着くと、改札口で妻が待っていた。
手を振ると、不思議そうな表情になった。
わたしが花束も何も持っていないことに違和感を抱いたのだろうか?
そう考えると、一瞬たまらなくなったが、無理して口角を上げた。
「待った?」
「少しだけ」
妻も無理したように笑みを浮かべた。
二人して黙って階段を上った。
地上に出ると、雨は上がっていた。
「涙雨は止んだみたいね」
出社最終日の心情を慮ったのか、目を細めて空を見上げた。
骨董通りを南青山六丁目交差点方面へ向かって歩き始めた。
この通りの沿道には古美術品店や民芸品店が数多く立ち並んでいるので、骨董通り、もしくは、アンティーク通り、とも呼ばれている。
少し時間があったので、岡本太郎記念館や根津美術館の近くをのんびりと散歩した。
それから緩い坂を少し上って、日本で最も有名なジャズ・クラブの前に立った。
ジャズノート青山。
木製の重い扉を開けると、下に降りる階段が見えた。
暗い階段をゆっくり降りていくと、淡い照明に照らされたホールにたどり着いた。
ビルを出て、傘を差し、最寄り駅へ向かった。
会社から卒業する日、その日は妻と食事をすることに決めていた。
地下鉄に乗って、表参道駅に着くと、改札口で妻が待っていた。
手を振ると、不思議そうな表情になった。
わたしが花束も何も持っていないことに違和感を抱いたのだろうか?
そう考えると、一瞬たまらなくなったが、無理して口角を上げた。
「待った?」
「少しだけ」
妻も無理したように笑みを浮かべた。
二人して黙って階段を上った。
地上に出ると、雨は上がっていた。
「涙雨は止んだみたいね」
出社最終日の心情を慮ったのか、目を細めて空を見上げた。
骨董通りを南青山六丁目交差点方面へ向かって歩き始めた。
この通りの沿道には古美術品店や民芸品店が数多く立ち並んでいるので、骨董通り、もしくは、アンティーク通り、とも呼ばれている。
少し時間があったので、岡本太郎記念館や根津美術館の近くをのんびりと散歩した。
それから緩い坂を少し上って、日本で最も有名なジャズ・クラブの前に立った。
ジャズノート青山。
木製の重い扉を開けると、下に降りる階段が見えた。
暗い階段をゆっくり降りていくと、淡い照明に照らされたホールにたどり着いた。