人生 ラン♪ラン♪ラン♪ ~妻と奏でるラヴソング~ 【新編集版】
小説はまだ一行も書いていなかったが、ペンネームは決めていた。
それは本名に因んだものだった。
わたしの本名は、三木田幹夫。
付いたあだ名が『ミキミキ』
小学4年生の時に悪友が言い始め、中学を卒業するまで友人達から本名で呼ばれることはなかった。
わたしは『ミキミキ』と呼ばれるのが嫌で嫌で仕方がなかった。
女性アイドルのニックネームのようで、呼ばれる度に恥ずかしさを覚えた。
そもそも、名字が〈ミキ〉で始まるのに、なんで名前まで〈ミキ〉で始めるのか、親のセンスが信じられなかった。
せめて、三木田勇とか、三木田光とか、三木田亮とか、カッコいい名前にしてくれれば良かったのにと、いつもそう思っていた。
しかし、ペンネームを考え始めた時、何故か真っ先に浮かんできたのが〈ミキミキ〉という言葉だった。
〈ミキミキ〉という名前の作家は聞いたことがないし、なんといっても覚えやすい。
語呂がいいから、一度聞いたら忘れられないと思うし、絶対いけると確信したのだ。
ただ、問題があった。
漢字だ。
どの字を当てはめるかで迷いに迷った。
どうせならカッコ良い漢字にしたかったから、カッコいい歌手や俳優の顔を思い浮かべながら字を当てはめていった。
『美木美樹』
『美希美輝』
『美貴美姫』
色々な漢字を当てはめながら、有名な文学賞を受賞している自分を想い描いた。
カメラのフラッシュを浴びて、インタビューに答ええるカッコ良い自分を夢想した。
しかし、ある日ふっと我に返った。
20代や30代ならまだしも、65を過ぎたジジイが何を浮かれているんだ、と自分を恥じた。
『三木幹』
これに決めた。
わたしが生まれてから65年間ずっと一緒だった本名を外すわけにはいかなかった。
それは本名に因んだものだった。
わたしの本名は、三木田幹夫。
付いたあだ名が『ミキミキ』
小学4年生の時に悪友が言い始め、中学を卒業するまで友人達から本名で呼ばれることはなかった。
わたしは『ミキミキ』と呼ばれるのが嫌で嫌で仕方がなかった。
女性アイドルのニックネームのようで、呼ばれる度に恥ずかしさを覚えた。
そもそも、名字が〈ミキ〉で始まるのに、なんで名前まで〈ミキ〉で始めるのか、親のセンスが信じられなかった。
せめて、三木田勇とか、三木田光とか、三木田亮とか、カッコいい名前にしてくれれば良かったのにと、いつもそう思っていた。
しかし、ペンネームを考え始めた時、何故か真っ先に浮かんできたのが〈ミキミキ〉という言葉だった。
〈ミキミキ〉という名前の作家は聞いたことがないし、なんといっても覚えやすい。
語呂がいいから、一度聞いたら忘れられないと思うし、絶対いけると確信したのだ。
ただ、問題があった。
漢字だ。
どの字を当てはめるかで迷いに迷った。
どうせならカッコ良い漢字にしたかったから、カッコいい歌手や俳優の顔を思い浮かべながら字を当てはめていった。
『美木美樹』
『美希美輝』
『美貴美姫』
色々な漢字を当てはめながら、有名な文学賞を受賞している自分を想い描いた。
カメラのフラッシュを浴びて、インタビューに答ええるカッコ良い自分を夢想した。
しかし、ある日ふっと我に返った。
20代や30代ならまだしも、65を過ぎたジジイが何を浮かれているんだ、と自分を恥じた。
『三木幹』
これに決めた。
わたしが生まれてから65年間ずっと一緒だった本名を外すわけにはいかなかった。