人生 ラン♪ラン♪ラン♪ ~妻と奏でるラヴソング~ 【新編集版】
 ぐっすり眠って目覚めた朝、窓のカーテンを開けると、視界が青一色に埋め尽くされた。
「日頃の行いが良いと天気に恵まれるね」
 大きく背伸びをしてから幸せな気分に浸った。
 しかし妻は能天気なわたしの声に反応することもなく、部屋に忘れ物がないかどうかのチェックに余念がなかった。
「急がないとリムジンバスに遅れるわよ」
 妻に急かされて慌ててバス停に向かった。
 
 バスはすぐに来た。
 乗り込むと、意外に空いていたので、前後して窓際の席に座った。
 右側に海を見ながら、約1時間でヌメアの中心部に着いた。
 
「あっ、フランボワイヤン!」
 前の席に座っている妻が小さく叫んだ。
「何?」
「ほら、燃えるような赤い花が咲いているでしょう。あれが、フランボワイヤンの木よ。日本名は火焔樹(かえんじゅ)というのよ」
 見ると、辺り一面に燃えるような赤い花が咲き乱れていた。
 圧倒されるような赤い花だ。
「あっ、プルメリア」
「あっ、ブーゲンビリア」
 妻は次々に色鮮やかな花を見つけては、嬉々として説明してくれた。
 日本では見ることのない花々を見ていると、心が解放されてなんとも言えない幸せな気持ちが込み上げてきた。
 
 本当に天国にいちばん近い島に来たんだな~、
 何故かしみじみと感じ入るものがあった。
 見上げると、どこまでも青い空に太陽がまぶしく輝いていた。
 素敵な旅になりそうな予感がした。


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