人生 ラン♪ラン♪ラン♪ ~妻と奏でるラヴソング~ 【新編集版】
 翌朝、玄関のシューズボックスから、いつ買ったか記憶が定かではない古いランニングシューズを取り出した。
 左右共にかかと部分の外側がすり減っていて、履くと、元々のガニ股が更に酷くなったように感じたが、新たに買う余裕もないのでこれで我慢することにした。
 それと、朝晩はまだ寒いので昼食後に走ることにしたし、近所は人の目があるので少し離れた公園まで行くことにした。

 昼食のおかずを見て気合が入った。
 鮭の塩焼きとおひたしと納豆と味噌汁がテーブルに並んでいた。
 すべて大好きなおかずだった。
〈おいしい、おいしい〉と口に出して食べ終え、7年物のトレーナーに着替えて公園まで早足で歩いた。

 公園に着くと、屈伸運動や柔軟体操をして体を慣らしてから走り始めた。
 しかし、体が重くて足が前に進まなかった。
 太腿はまったく上がらなかった。
 何年も走ったことがなかったので、足の筋肉がかなり落ちているようだった。
 これでは幼稚園児にも負けてしまうと気落ちしたが、〈ローマは一日にして成らず〉と叱咤激励して走り続けた。
 
 
 
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