人生 ラン♪ラン♪ラン♪ ~妻と奏でるラヴソング~ 【新編集版】
 膝の状態が回復するまでの間、推敲に集中することにした。
『何』と『後』のルール化によって文章に違和感がなくなってきたので、人物描写や情景描写の推敲に集中できるようになった。
 ものの本には『より具体的に描くことが重要』と書かれていたので、それに取り組むことにした。
 表面的な描写になっているところを具体的なものに変えていくのだ。
 しかしこれは簡単ではなかった。
 例えば人物描写では、顔の造形や身長、体重などを詳細に描けばいいかというと、そうとは限らない。
 どうでもいいことに拘り過ぎると、読む人の想像力を削ぐ可能性がないとは言えない。
 そうなると却ってつまらなくなる。
 そのあたりの塩梅はわたしにはかなり難しいが、特徴のあるところだけに絞って具体的に描写することにした。
 
 情景描写も同じだ。
 ある程度具体的に描くのはいいが、度を超えると読むのが嫌になってくる。
 今まで読んだ小説にもそう感じることが多々あった。
〈そんな細々としたところに拘らないでもっと話を前に進めてよ〉と言いたくなることを何度も経験していた。
 いわゆる小説オタクのような人は細かな描写が長々と書かれていても嬉々として付き合ってくれるだろうし、それ以上に感嘆したり唸ったりするのかもしれないが、一般の読者はそうではない。
 延々と描写が続くと眠たくなってくるし、読む気がしなくなる。
 そして最後にはその小説自体に興味がなくなっていく。
 何故なら、一般の読者は芸術作品を読みたいわけではなく、スピーディーに展開する物語を読みたいからだ。
 そのためには人物描写も情景描写も簡潔にした方がわかりやすい。
 筆力を誇示するよりも、読者の立場に立った、読みやすい、そして、飽きのこないストーリー展開が必要なんだろうと思う。
 もちろんそれが簡単ではないことは十分理解しているが、それを心がけることが大事だと考えて推敲を進めていった。


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