人生 ラン♪ラン♪ラン♪ ~妻と奏でるラヴソング~ 【新編集版】
        ♪ エピローグ ♪

 今日は真夏日になるらしい。
〈6月28日の最高気温は30度を超える〉と告げるお天気お姉さんのバックには美しい紫陽花が映っており、夏本番が間近なことを思わせたが、それに違わず、まだ扇風機を出していないわたしの部屋はムシムシとした暑さがたむろ(・・・)している状態になっていた。
 しかし、それによって邪魔されることはなかった。
 妻が新しいタイトルを考えてくれたおかげで追い込みに拍車がかかっていたのだ。
 締め切りまであと1週間ちょっとしかなかったが、なんとか間に合いそうで、気力が充実していた。
 
 それにしても、タイトルが変わるだけでこんなにもアイディアが湧き出てくるとは思わなかった。
 一気に視界が開けて目の前がブルースカイになったのだ。
 長年の便秘が解消したようなスッキリとした気持ちでパソコンに向き合えているのだ。
 
 しかし、妻からこのタイトルを聞いた時は驚いた。
 というより絶句した。
〈ウソだろ!〉という感じになった。
 それほど衝撃的だった。
 だから聞いた当初は拒絶した。
 あり得ないと相手にしなかった。
 しかし、2日経ち、3日経ち、4日目になると、これもありだなと思えるようになった。
『二毛作』という言葉は直接的で、そこから連想できる膨らみを見つけるのが難しいが、妻が考えたタイトルは、新たなことに挑戦する喜びや将来に向けての希望を表しているように思えてきたからだ。


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