人生 ラン♪ラン♪ラン♪ ~妻と奏でるラヴソング~ 【新編集版】
 支社長派と反支社長派、支社は完全に二分された状態になった。
 そうこうするうちに、無気力が支社を覆い始めた。
 挨拶をする社員が減り、私語が増えた。
 仕事と関係のないネット画面を見る社員が多くなった。
 本社から届いた販促物が使われることもなく、そのまま放置されるようになった。
 重要な書類もそうでない書類も整理されず、雑然と机の上に積み重ねられるようになった。
 当然のごとく支社から活気が消えていった。
 
「本社はその事に気づかなかったのか?」

「わかりません。気づいていたのかもしれませんが……」

 旧知の社員はまた口を濁した。
 言いにくそうだった。
 今度もわたしは待った。
 強制して口を割らせるようなことはしたくなかった。
 
「ここだけの話にしてくださいね」

 念を押すようにわたしを見つめたので、〈信用してくれ〉と伝えるために大きく頷いた。
 それを見て覚悟を決めたのか、その時の状況を話し始めた。 
 
 
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