人生 ラン♪ラン♪ラン♪ ~妻と奏でるラヴソング~ 【新編集版】
 契約社員の力量が上がってくると、正社員もうかうかしていられなくなった。
 特に、スーパーマーケットの本部担当者の目の色が変わった。
 お座なりだったバイヤーとの面談準備に力を入れるようになった。
 納入条件だけでなく、契約社員の情報を基にした顧客心理に訴える棚割り案や販促策を盛り込むようになった。
 更に、自主的にマーケティングの勉強を始め出した。
 専門書を購入して読書会のように読み合わせをし、その中から商談に使えそうなものを抽出し、バイヤーへの提案書に落とし込んでいった。
 すると、バイヤーとの面談回数が増えていった。
 1回の面談時間が長くなった。
 バイヤーからの電話も多くなった。
 広域量販課が猛烈に忙しくなった。
 
 縦割りだった組織が横の連携を意識するようになり、部門を超えた協力体制ができ始めた。
 社員同士の議論が白熱し、充満したエネルギーがオフィス全体に渦巻いた。
 東京支社が異次元の世界へ向かおうとしていた。


< 42 / 229 >

この作品をシェア

pagetop