人生 ラン♪ラン♪ラン♪ ~妻と奏でるラヴソング~ 【新編集版】
 日本も例外ではなかった。
 リーマンの倒産から半年後、株価は40パーセント以上下落した。
 つまり、株式で持っていた資産が40パーセント以上減ったことになる。
 投資家は狼狽した。
 
 実体経済への影響も甚大で、中小企業だけでなく、大企業までもが倒産の危機を迎えた。
 2008年の倒産件数は15,000件を超え、その年の負債総額は12兆円近くまで膨らんだ。
 倒産企業から失業者が溢れ、倒産を免れた企業でも聖域なき経費削減が行われた。
 それは人件費も例外ではなかった。
 つまり、社員の給料にも影響が及んだのだ。
 給料が減る中で多くの人が生活防衛に追われた。
 
 食品業界にも当然ながら大きな影響が及んだ。
 可処分所得が減った消費者は割安な商品を探してチラシの特売品に飛びついたのだ。
 1円でも安い食品を探すために店舗を渡り歩く客が一気に増えた。
 そんな状況だから、高額な商品は売れなくなった。
 つまり、メーカーにとって利益率の高い商品が敬遠されるようになったのだ。
 
 消費者の購買行動の変化に合わせて、店舗での安売り合戦が始まり、〈他店より安く〉が小売企業の合言葉のようになった。
 新聞に折り込まれた競合他店のチラシ価格を徹底的に調べ上げて、それより1円安くする、そのようなことが日々繰り返された。
 消費者を繋ぎ止めるためには価格訴求しかない状況だったのだ。
 だから店頭価格の下落が止まらなかった。
 その結果、小売企業からメーカーへの値下げ圧力が高まった。
 メーカーは利益を吐き出して対応するしかなかった。


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