人生 ラン♪ラン♪ラン♪ ~妻と奏でるラヴソング~ 【新編集版】
        ♪ 2011年 ♪

 東日本大震災への対応に追われている頃、消費者の購買行動に大きな変化が表れていた。
 店舗以外での購入だった。
 1995年頃から始まったネット通販は年を追って勢いを増し、実店舗での売り上げを脅かし始めていた。
 消費者は、より便利な、より快適な購買行動を求めていたのだ。
 どんな時間帯でも、どんな悪天候でも、クリック一つで買い物ができるネット通販の魅力に取りつかれていた。
 
 今までは、雨が降っても、雪が降っても、強風が吹いても、必要なものを買うために外出して店舗に行かざるを得なかった。
 しかし、もうそんな必要はない。
 パソコンやスマートフォンがあれば、クリック一つで買い物ができるのだ。
 書籍を筆頭に、CDやDVD、家電、酒、衣料品などの世界ではネット通販が急速に広がった。その結果、業界地図が変わろうとしていた。しかし、食料品の世界ではこれからも大きな影響は出ないだろうというのが大方の予想だった。
 でもそうだろうか? 
 今のところはそうかもしれないが、この流れに例外なんてあるのだろうか? 
 ネット先進国アメリカでは日持ちのする食品だけではなく生鮮食料品のネット販売が始まっているのだ。
 日本だけ例外のはずがない。
 食品のネット通販を止めることなんてできるはずはないのだ。
 そう確信したわたしは、東日本大震災の影響に翻弄されながらも、ネット通販への対応を真剣に考え始めた。
 
 
 
< 53 / 229 >

この作品をシェア

pagetop