人生 ラン♪ラン♪ラン♪ ~妻と奏でるラヴソング~ 【新編集版】
 一気に肩が軽くなったので、〈好意的ではないご意見〉に目を通した。
 
「ご立派なご意見だと思います。しかし、御社は食品会社として廃棄ゼロを目指していますか? 言っていることとやっていることの整合性は取れていますか? 私はそうは思いません。御社の決算資料を拝見すると、かなりの在庫を抱えていることがわかります。この在庫はすべて出荷されていますか? 作り過ぎて出荷されないまま廃棄されているものはありませんか? 返品はどうですか? スーパーマーケットからの返品がたくさんあるのではないですか? その返品はどうしていますか? 廃棄されているのではないですか? 会社の中に無駄がいっぱいあるのではないですか? ご立派なご意見を発信されるのも結構ですが、まずは足元を見つめられることをお勧めします。辛口でごめんなさい」

 う~ん、参った。
 その通りだった。
 会社で廃棄している製品は少なくなかった。
 偉そうなことを言う前に、自分で出来ることをやらなければならないと悟らされた。
 もちろん、支社長の立場で出来ることは限られている。
 しかし、支社員への啓発など、自分で出来ることをやり切っていただろうかと考えると、首を縦に振ることはできなかった。
 
 明日の朝礼で〈もったいない〉を支社員と共有し、支社内で完結できることは率先してやり切ることを決めた。
 更に、本社にも掛け合って廃棄ゼロへの挑戦を促すことにした。
 厳しいご意見に真摯に耳を傾けて少しでも良くしていかなければならないと覚悟を新たにした。
 
 
< 85 / 229 >

この作品をシェア

pagetop