トリックオアトリートな同期の日樫くんがあまくなる夜
営業の中には「自分が会社を支えているんだ、事務よりも偉い」と威張る人もいるが、彼は裏方の私たちも労ってくれる。お前のおかげで仕事がやりやすい、と言われたときには心臓が止まるかと思った。
「麻川さん、お願いがあるんですけど」
呼ばれて振り返ると、この社で一番かわいいと評判の金本瑠奈さんがいた。派遣社員で、営業事務の補助として一緒に働いている。
女子力最強の金本さん、ロングヘアは今日もきれいに巻かれていてバランスばっちりのメイクがすばらしい。特に眉が完璧で爪には控えめなオフィスネイル。頭のてっぺんからつま先まで手を抜いてないんだろうな。
「急に母が田舎から出て来ることになって、駅に迎えに行かないといけないんです。でも今日中にやらないといけない仕事があって……お願いできませんか?」
「……わかった。メールで詳細を送って」
月に一回は母親が来ている気がするのだけど、突っ込む勇気はない。
「ありがとうございますぅ!」
金本さんは胸の前で両手を組んで顔を傾けてきゃぴっとお礼を言う。
ああかわいい。
私は彼女のことも羨ましい。
明るくて人に甘えても許されて、ぶりっこと言われる仕草が自然にかわいくできるなんて。
「そういえば、麻川さんって日樫さんと付き合ってるんですか?」
「は!?」
唐突な質問に、驚きで声を上げてしまった。
「麻川さん、お願いがあるんですけど」
呼ばれて振り返ると、この社で一番かわいいと評判の金本瑠奈さんがいた。派遣社員で、営業事務の補助として一緒に働いている。
女子力最強の金本さん、ロングヘアは今日もきれいに巻かれていてバランスばっちりのメイクがすばらしい。特に眉が完璧で爪には控えめなオフィスネイル。頭のてっぺんからつま先まで手を抜いてないんだろうな。
「急に母が田舎から出て来ることになって、駅に迎えに行かないといけないんです。でも今日中にやらないといけない仕事があって……お願いできませんか?」
「……わかった。メールで詳細を送って」
月に一回は母親が来ている気がするのだけど、突っ込む勇気はない。
「ありがとうございますぅ!」
金本さんは胸の前で両手を組んで顔を傾けてきゃぴっとお礼を言う。
ああかわいい。
私は彼女のことも羨ましい。
明るくて人に甘えても許されて、ぶりっこと言われる仕草が自然にかわいくできるなんて。
「そういえば、麻川さんって日樫さんと付き合ってるんですか?」
「は!?」
唐突な質問に、驚きで声を上げてしまった。