地味顔シンデレラは王子様を調教す!【マンガシナリオ】

第三話 ルックスが良いだけの男は嫌!

○学校・教室(朝)

怒った顔をした藤堂尚弥の美しさに見惚れる千波。
色素の薄い彼の瞳は澄んでいて思わず吸い込まれそうになり千波は首を振る。

千波「返事はしたはずだけど? 私、ルックスが良いだけの男は嫌なの」

千波の言葉に息を呑む藤堂尚弥。
千波の言葉に再び教室がざわめき出す。

教室の扉を開けて眼鏡をかけた40代くらいの担任教師が入ってくる。

担任教師(数学担当)「みんな、どうした? 座って。1時間目は数学よ」

担任の言葉を聞いて尚弥は千波の肩に、手を乗せて座らせると自分の席に戻った。

担任教師「丸川千波? 女優のチャンなんちゃらかと思った。綺麗になったねー」
担任教師の揶揄うような言葉に千波は恥ずかしくなり俯く。

理一郎「僕も丸川さん綺麗になってびっくりした」
隣の席の理一郎がそっと耳打ちしてきて、千波は思わず彼の顔を見る。
千波「ありがと⋯⋯根本君も今度、眼鏡を外して私を驚かせてみて」

千波の言葉に理一郎は頬を染めて俯くのだった。

担任教師「じゃあ、この問題。某大学の医学部で出された問題なんだけど答えられる人いる?」
黒板に書かれた数式のあまりの難しさに千波は混乱する。

風が動く音を感じて隣を見ると、理一郎が手を挙げていた。
千波は机の下で小さく拍手する。


すると、尚弥が挙手して周りから歓声が挙がる。

担任教師「藤堂が手を挙げるなんて珍しいな!」

担任教師が尚弥を当てると、尚弥は千波を一瞥してから黒板の前に出てスラスラと数式を解いていく。
尚弥はまた自分の席に戻る時に千波に視線を送るが、千波はイケメン過ぎて直視できず目を逸らす。

担任教師が黒板に花丸を描く。
担任教師「凄いな! 流石未来のスーパードクターだ!」
教室中が拍手するも、尚弥は苦い顔をして窓の外を見る。
そんな尚弥を心配そうに見る千波を理一郎が見つめていた。

○学校・体育館(バスケの授業)

男女分かれてチーム形式でバスケの練習試合をする。

美奈子「千波! パスどんどん回すからシュート決めてね」
小柄な美奈子がシュートのポーズをとって千波にアピールする。
体操着が捲れ美奈子のお腹が少し見えたのを男子たちがガン見している。
千波は呆れて美奈子の体操着を下の短パンにインする。

美奈子「ありがとう⋯⋯」
千波「どう致しまして」
千波はゴムで自分の髪をポニーテールにしながら美奈子に微笑みかける。


クラスメートの女たち「尚弥君すごーい!」「また、シュート決めたカッコ良い!」「本当に王子だよね」
試合そっちのけで隣の男子コートを見ている女子生徒たち。

体育教師「おいおい、授業なんだから集中しろ!」
集中しない女子の隙を見てシュートを決める千波。
千波と美奈子はハイタッチをする。

クラスメートの男「あっ! 危ない!」
男子たちが試合をするコートから飛んできたボールに千波が頭を打つ。
千波「い、たあ」
左耳辺りを抑える千波に近寄ってくる体育教師。
体育教師「おい! 大丈夫か? 頭だし、一応保健室に行った方が良いな」

男子コートの審判をしていた理一郎が近づいてくる。
理一郎「僕、付き添います!」
千波「あ、ありがとう。実は結構ぐわんぐわんする」
千波の言葉に突然、千波を横抱きにする理一郎。

千波「自分で歩けるよ」
理一郎「頭を打ってるんだから、転んだりしたら大変でしょ」
千波「ちょっと恥ずかいから降ろして欲しい⋯⋯転ばないように手を繋いでくれるだけで十分だから⋯⋯」
真っ赤になっている千波を見て慌てて床に降ろす理一郎。

千波「お姫様抱っことか初めてされた。根本君、力持ちなんだね」
千波の言葉に真っ赤になりながらも手を出してくる理一郎。
その手を千波は握りしめるのだった。

2人が消えた後を睨みつける尚弥。
そんな尚弥にパスを出すクラスメートの男。
クラスメートの男「やばい藤堂王子、ガリ勉男に負けた。まあ、元気出せよ。お前、女は選び放題じゃん」
尚弥は受け取ったパスをシュートして、スリーポイントシュートが決まる。
クラスメートの女子たちから黄色い歓声と拍手が湧き起こる。

尚弥「誰が負けたって?」
いつにない険しい表情で睨みつける尚弥に震えるクラスメートの男。

尚弥「先生! 突き指しちゃったんで、保健室に行ってきます」









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