月 光
わたしたちが入っているバリアは飛んで進んでいた。
上から見る地上は、真っ黒で緑や道が見えなくなる程になっていた。
「何でこんなことに、、、最近、平和だと思っていたのに。」
「今まで、急に黒魔がこんなにたくさん出てきたことはあるんですか?」
「いや、わたしが知ってる限りではないかな。何が起こってるんだろ、、、リュウサ、、、ケイシ、、、」
ケイシさんとリュウサさんがいくら強いとはいえ、あまりの状態の酷さにアリスさんも不安なのは、わたしでも分かった。
わたしは、自分の左手についているケイシさんから貰った月光花のブレスレットを撫でた。
ケイシさん、、、
ケイシさんがブレスレットを付けてくれたあの時の記憶が蘇る。
不器用なケイシさんが編んでくれた大事なブレスレット。
わたしは、ケイシさんとリュウサさんの無事を願いながら、アリスさんと共に二人が戦う場所まで飛んで行くのだった。
町の近くまで飛んで行くと、遠くの丘の方に大きな塊が見えた。
「何あれ?!」
そう言い、驚くアリスさん。
よく見ると、それは巨大化した黒魔の姿で、赤い目を光らせていた。