小さな恋のトライアングル
帰省
2日後。
年が明けて元旦がやって来た。
「お姉さん、明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします」
「明けましておめでとう。こちらこそ、今年もどうぞよろしくね、真美ちゃん」
潤が真美を車に乗せて都のマンションに迎えに行き、新年の挨拶をする。
「がっくん。明けましておめでとう。今年もよろしくね」
「うん。おめでとう、まみ。ことしもたくさんあそぼうな」
「ふふ、そうだね。お正月からがっくんに会えて嬉しい」
「おれも!」
後部座席のチャイルドシートに岳が座り、都と真美も後ろに乗り込む。
駅のロータリーに向かうと、スラリとスタイルの良い樹が立っているのが見えた。
「岳、話してた友達。呼んでくるからちょっと待ってて」
車を止めた潤が、シートベルトを外しながら岳を振り返った。
「あのひとー?じゅんよりかっこいいじゃん」
「同じくらいだろ?」
そう言って潤はドアを開けて外に出る。
都と真美は内心ドキドキしながら、何気ないふうを装っていた。
潤が樹に声をかけ、何か言葉を交わしてから二人は車へとやって来る。
潤は樹の荷物をトランクに入れると、助手席のドアを開けた。
「どうぞ。狭い車ですみません」
「とんでもない。お邪魔するよ」
そう言って身を屈め、樹は後部座席の岳に話しかける。
「初めまして、岳くん。僕は三原 樹といいます」
「いつきー?おれのクラスに、いつきってこがいる」
「そうなんだ、お友達と同じ名前なんだね。それなら僕のことは、おじさんと呼んでくれる?」
「それはだめだ。コロッケおまけしてほしいから、おじさんとはよべない」
……は?と樹が固まると、潤は苦笑いしながら促した。
「どうぞ、乗ってください」
「ああ、ありがとう」
樹は助手席に座ると、真美にも挨拶した。
「明けましておめでとう。今年もよろしくお願いします」
「明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。先日はありがとうございました」
「いいえ、こちらこそ」
樹は真美ににっこり笑うと、都とも新年の挨拶を交わした。
「では出発します。静岡なので、空いてれば2時間で着くかな」
そう言って潤がアクセルを踏む。
高速道路に入ると、岳が興奮気味に窓の外を見た。
「すっごーい!ビュンビュンはやい!じゅん、とばしてんな」
「そうか?ちゃんと制限速度は守ってるぞ」
「なんかおれ、じゅんがかっこよくみえてこまる」
「いや、困らんでいいだろ」
なるべく大人しくしていようと黙っていた樹が、たまらず笑い声を上げた。
「ははは!ごめん、面白くてつい」
「いつき、かんたんにわらいすぎだぞ」
「そ、そうか。ごめん、岳くん」
「あやまんなって。きにするな」
「うん、ありがとう」
二人のやり取りを、他の3人はさり気なく見守る。
岳も普段と変わらない様子でホッとした。
1時間ほど走ると、サービスエリアで休憩する。
もう一度車に乗ると、都が買っておいた缶コーヒーを配った。
「はい、潤」
「サンキュー」
「樹も」
「ありがとう」
すると岳が口を開いた。
「ママもいつきって、よびすてにするんだ。ってことは……」
皆は一斉に動きを止めた。
(もしや、何か気づいた?)
ドキドキしながら、じっと岳の次の言葉を待つ。
「いつき、かちょーじゃないんだな?ママ、いつきよりもえらいの?」
えーっと……、と樹が眉を下げて困惑する。
「あはは!そうだよ、岳。ママ、樹よりもえらいんだー」
都が笑い飛ばし、「さすがママ」と岳も笑顔になった。
年が明けて元旦がやって来た。
「お姉さん、明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします」
「明けましておめでとう。こちらこそ、今年もどうぞよろしくね、真美ちゃん」
潤が真美を車に乗せて都のマンションに迎えに行き、新年の挨拶をする。
「がっくん。明けましておめでとう。今年もよろしくね」
「うん。おめでとう、まみ。ことしもたくさんあそぼうな」
「ふふ、そうだね。お正月からがっくんに会えて嬉しい」
「おれも!」
後部座席のチャイルドシートに岳が座り、都と真美も後ろに乗り込む。
駅のロータリーに向かうと、スラリとスタイルの良い樹が立っているのが見えた。
「岳、話してた友達。呼んでくるからちょっと待ってて」
車を止めた潤が、シートベルトを外しながら岳を振り返った。
「あのひとー?じゅんよりかっこいいじゃん」
「同じくらいだろ?」
そう言って潤はドアを開けて外に出る。
都と真美は内心ドキドキしながら、何気ないふうを装っていた。
潤が樹に声をかけ、何か言葉を交わしてから二人は車へとやって来る。
潤は樹の荷物をトランクに入れると、助手席のドアを開けた。
「どうぞ。狭い車ですみません」
「とんでもない。お邪魔するよ」
そう言って身を屈め、樹は後部座席の岳に話しかける。
「初めまして、岳くん。僕は三原 樹といいます」
「いつきー?おれのクラスに、いつきってこがいる」
「そうなんだ、お友達と同じ名前なんだね。それなら僕のことは、おじさんと呼んでくれる?」
「それはだめだ。コロッケおまけしてほしいから、おじさんとはよべない」
……は?と樹が固まると、潤は苦笑いしながら促した。
「どうぞ、乗ってください」
「ああ、ありがとう」
樹は助手席に座ると、真美にも挨拶した。
「明けましておめでとう。今年もよろしくお願いします」
「明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。先日はありがとうございました」
「いいえ、こちらこそ」
樹は真美ににっこり笑うと、都とも新年の挨拶を交わした。
「では出発します。静岡なので、空いてれば2時間で着くかな」
そう言って潤がアクセルを踏む。
高速道路に入ると、岳が興奮気味に窓の外を見た。
「すっごーい!ビュンビュンはやい!じゅん、とばしてんな」
「そうか?ちゃんと制限速度は守ってるぞ」
「なんかおれ、じゅんがかっこよくみえてこまる」
「いや、困らんでいいだろ」
なるべく大人しくしていようと黙っていた樹が、たまらず笑い声を上げた。
「ははは!ごめん、面白くてつい」
「いつき、かんたんにわらいすぎだぞ」
「そ、そうか。ごめん、岳くん」
「あやまんなって。きにするな」
「うん、ありがとう」
二人のやり取りを、他の3人はさり気なく見守る。
岳も普段と変わらない様子でホッとした。
1時間ほど走ると、サービスエリアで休憩する。
もう一度車に乗ると、都が買っておいた缶コーヒーを配った。
「はい、潤」
「サンキュー」
「樹も」
「ありがとう」
すると岳が口を開いた。
「ママもいつきって、よびすてにするんだ。ってことは……」
皆は一斉に動きを止めた。
(もしや、何か気づいた?)
ドキドキしながら、じっと岳の次の言葉を待つ。
「いつき、かちょーじゃないんだな?ママ、いつきよりもえらいの?」
えーっと……、と樹が眉を下げて困惑する。
「あはは!そうだよ、岳。ママ、樹よりもえらいんだー」
都が笑い飛ばし、「さすがママ」と岳も笑顔になった。