小さな恋のトライアングル
そして待ちに待ったキャンプ当日がやって来た。
一番楽しみにしていたのは、岳と樹だろう。
都は二人から「早く行きたい!」とうんざりするほど聞かされたとぼやいていた。
以前と同じように、まず潤は真美を車に乗せて都のマンションへ向かい、次に最寄駅で樹を拾う。
そこから高速道路で1時間半走り、湖のほとりのキャンプ場に着いた。
「んー、空気が美味しいわね。でも寒い!」
都は身震いすると、急いでトレーラーハウスの鍵を開けて中に入る。
「うわー、すっごい!広い!アメリカン!大陸横断の旅に行けそう!」
「あー、ママずるい!おれも!」
岳は急いで都のあとを追い「すっごーい!」と興奮した声を上げた。
「まみ!はやく!にだんベッドがある!」
「ふふっ、早速登ってみたら?がっくん」
「うん!このはしごをのぼるの?」
「そうだよ」
トレーラーの中の2段ベッドは大人には小さめだが、岳にはちょうどいいサイズだ。
「わー、たかい!まみよりたかいぞ」
「おー、ほんとだ」
すると何を思ったのか、岳は手を伸ばして真美の頭をヨシヨシとなでる。
「まみ、いつもおれにヨシヨシしてくれるから、おれもまみにやりたかったんだ」
「そうなんだ。ありがとう、がっくん」
岳がトレーラーの中をパシャパシャとカメラで撮影している間に、潤と樹は車から荷物やバーベキューセットを下ろして火をおこす。
都と真美が準備をして、ウッドデッキで焼きそばを作った。
「おいしい!」
「青空の下で食べると美味しいね。がっくん、食べたらアスレチックに行こうか」
「うん!はやくいこ!」
岳はもう、どうにもテンションが高いままだ。
歩いてすぐのアスレチックパークに行くと、森の地形を活かした本格的な遊具が空中に高く張り巡らされている。
「おおー、なかなかの難易度だな。最近のアスレチックって攻めてるわ」
「ほんとだ。俺の子ども時代のアスレチックとは全然違うな。これは大人でも骨が折れそうだ。大丈夫かな?俺」
「樹さん、まだ若いでしょ?何を弱気になってんですか」
「だって俺、四捨五入したら40だもん。潤くんより10も上になる」
「四捨五入しなきゃいいでしょ?ほら、岳にかっこいいとこ見せてくださいよ」
「ああ、そうだな」
二人は岳を連れて受付に行く。
専用のハーネスをつけてヘルメットをかぶり、いよいよコースのスタート地点に立った。
「がんばれー!」
下から都と真美が声援を送る。
まずはグラグラと不安定な丸太の吊り橋を潤が先に渡ってみせ、岳を振り返る。
「いいぞ、岳。おいで」
「うん」
恐る恐る足を踏み出す岳に、すぐ後ろから樹が寄り添う。
小さな足を懸命に伸ばし、両手でしっかりロープを掴みながら、岳は無事に渡り切った。
「よし!その調子」
次はそびえ立つ大きな壁を、凹凸を手がかりによじ登っていく。
「てがとどかないー」
「岳くん、右手を横に伸ばしてごらん」
「ここ?」
「そう。それを掴んでから、足も右に移動するんだ。そしたらすぐ上の出っ張りに手が届くよ」
「あ、ほんとだ!」
樹が下からアドバイスして、無事に岳は頂上に着く。
「やったー!」
すぐ後ろから樹も追いつき、ハイタッチして喜んだ。
最後はジップライド。
はるか下の地面に向かってワイヤーが張られ、そこにハーネスを連結させて、自分の身体の重みで滑走するターザンロープみたいなものだった。
「わ、こわい……」
すぐ下を覗き込んだ岳は、あまりの高さに足がすくむ。
大人でも思わず身構える高さだった。
「岳くん、俺が先にやってみるよ。見ててね」
樹がそう言って、岳に笑いかける。
係員がハーネスの金具をカチャンと繋ぐと、樹は岳を振り返った。
「じゃあね、岳くん。行ってきまーす。あ~ああー!」
ターザンのように一気に滑り下りた樹に、岳があはは!と笑う。
「いつきー!おもしろかったぞ!」
「ええー?かっこ良かった、じゃないのー?」
下から樹も大声で返事をする。
「よし、じゃあ次は岳だ」
潤に言われて岳は真剣に頷く。
だがハーネスが繋がれ、いざ前に歩み出ると、恐怖で足が動かない。
「じゅん、おれ、むり」
「大丈夫だ。ほら、真下を見ないで樹を見てろ」
岳が顔を上げると、樹が大きく手を振った。
「岳くん、おいで!」
「うん!」
岳は思い切って足場を蹴る。
スーッと身体が空を切り、岳は一気に樹のもとへと滑り下りた。
「やったな!えらいぞ、岳!」
「うん!やった!」
樹は岳を高く抱き上げ、岳もキャッキャと笑い出す。
その様子を、都が涙ぐんで見守っていた。
一番楽しみにしていたのは、岳と樹だろう。
都は二人から「早く行きたい!」とうんざりするほど聞かされたとぼやいていた。
以前と同じように、まず潤は真美を車に乗せて都のマンションへ向かい、次に最寄駅で樹を拾う。
そこから高速道路で1時間半走り、湖のほとりのキャンプ場に着いた。
「んー、空気が美味しいわね。でも寒い!」
都は身震いすると、急いでトレーラーハウスの鍵を開けて中に入る。
「うわー、すっごい!広い!アメリカン!大陸横断の旅に行けそう!」
「あー、ママずるい!おれも!」
岳は急いで都のあとを追い「すっごーい!」と興奮した声を上げた。
「まみ!はやく!にだんベッドがある!」
「ふふっ、早速登ってみたら?がっくん」
「うん!このはしごをのぼるの?」
「そうだよ」
トレーラーの中の2段ベッドは大人には小さめだが、岳にはちょうどいいサイズだ。
「わー、たかい!まみよりたかいぞ」
「おー、ほんとだ」
すると何を思ったのか、岳は手を伸ばして真美の頭をヨシヨシとなでる。
「まみ、いつもおれにヨシヨシしてくれるから、おれもまみにやりたかったんだ」
「そうなんだ。ありがとう、がっくん」
岳がトレーラーの中をパシャパシャとカメラで撮影している間に、潤と樹は車から荷物やバーベキューセットを下ろして火をおこす。
都と真美が準備をして、ウッドデッキで焼きそばを作った。
「おいしい!」
「青空の下で食べると美味しいね。がっくん、食べたらアスレチックに行こうか」
「うん!はやくいこ!」
岳はもう、どうにもテンションが高いままだ。
歩いてすぐのアスレチックパークに行くと、森の地形を活かした本格的な遊具が空中に高く張り巡らされている。
「おおー、なかなかの難易度だな。最近のアスレチックって攻めてるわ」
「ほんとだ。俺の子ども時代のアスレチックとは全然違うな。これは大人でも骨が折れそうだ。大丈夫かな?俺」
「樹さん、まだ若いでしょ?何を弱気になってんですか」
「だって俺、四捨五入したら40だもん。潤くんより10も上になる」
「四捨五入しなきゃいいでしょ?ほら、岳にかっこいいとこ見せてくださいよ」
「ああ、そうだな」
二人は岳を連れて受付に行く。
専用のハーネスをつけてヘルメットをかぶり、いよいよコースのスタート地点に立った。
「がんばれー!」
下から都と真美が声援を送る。
まずはグラグラと不安定な丸太の吊り橋を潤が先に渡ってみせ、岳を振り返る。
「いいぞ、岳。おいで」
「うん」
恐る恐る足を踏み出す岳に、すぐ後ろから樹が寄り添う。
小さな足を懸命に伸ばし、両手でしっかりロープを掴みながら、岳は無事に渡り切った。
「よし!その調子」
次はそびえ立つ大きな壁を、凹凸を手がかりによじ登っていく。
「てがとどかないー」
「岳くん、右手を横に伸ばしてごらん」
「ここ?」
「そう。それを掴んでから、足も右に移動するんだ。そしたらすぐ上の出っ張りに手が届くよ」
「あ、ほんとだ!」
樹が下からアドバイスして、無事に岳は頂上に着く。
「やったー!」
すぐ後ろから樹も追いつき、ハイタッチして喜んだ。
最後はジップライド。
はるか下の地面に向かってワイヤーが張られ、そこにハーネスを連結させて、自分の身体の重みで滑走するターザンロープみたいなものだった。
「わ、こわい……」
すぐ下を覗き込んだ岳は、あまりの高さに足がすくむ。
大人でも思わず身構える高さだった。
「岳くん、俺が先にやってみるよ。見ててね」
樹がそう言って、岳に笑いかける。
係員がハーネスの金具をカチャンと繋ぐと、樹は岳を振り返った。
「じゃあね、岳くん。行ってきまーす。あ~ああー!」
ターザンのように一気に滑り下りた樹に、岳があはは!と笑う。
「いつきー!おもしろかったぞ!」
「ええー?かっこ良かった、じゃないのー?」
下から樹も大声で返事をする。
「よし、じゃあ次は岳だ」
潤に言われて岳は真剣に頷く。
だがハーネスが繋がれ、いざ前に歩み出ると、恐怖で足が動かない。
「じゅん、おれ、むり」
「大丈夫だ。ほら、真下を見ないで樹を見てろ」
岳が顔を上げると、樹が大きく手を振った。
「岳くん、おいで!」
「うん!」
岳は思い切って足場を蹴る。
スーッと身体が空を切り、岳は一気に樹のもとへと滑り下りた。
「やったな!えらいぞ、岳!」
「うん!やった!」
樹は岳を高く抱き上げ、岳もキャッキャと笑い出す。
その様子を、都が涙ぐんで見守っていた。