小さな恋のトライアングル
「おにくー、おにくー、ジュージューおにくー!」

ウッドデッキでバーベキューを始めると、岳はトングを持ってご機嫌で歌い出した。

「ほら、岳。おしり振って踊ってないで、ちゃんとお肉ひっくり返して。焦げちゃうよ」

都に言われて、岳は恐る恐るお肉に手を伸ばす。

樹がその手を上から握って、一緒にお肉を返していった。

「岳、とうもろこしとソーセージもあるぞ。お皿に載せるか?」
「うん。ピーマンはえんりょする」
「あはは!さてはピーマン苦手だな?遠慮するなって。こうやってお肉を中に詰めて食べると美味しいんだ」
「そうなの?もしまずかったら、いつきがたべてよ?」
「ああ、いいよ。でも美味しかったらどんどん食べな」

二人の自然な会話に、都も、潤も真美も、そっと微笑む。

岳は普段よりもモリモリ食べ、お肉を詰めたピーマンも怖々口にしてから「なかなかイケるな」と平らげていた。

最後にマシュマロを焼いて、チョコレートフォンデュを楽しんだ。

「がっくん、もうすぐバレンタインでしょ?だから私からもチョコレート。はい、あーんして」

真美は焼いたマシュマロに、溶かしたチョコレートをくぐらせて岳に差し出す。

あーん……と食べた岳は、あまーい!と笑顔になった。

「美味しい?あ、がっくん。ほっぺにチョコ付いちゃった」

真美が岳の頬についたチョコレートを指で拭い、チュッと自分の口に運ぶと、潤が真っ赤になって立ち上がった。

「真美!」
「え?どうかしました?」
「コテージに帰るぞ!」
「ええー?だって、まだフルーツも残ってるのに……」

すると都と樹がニヤニヤと笑う。

「まあまあ、真美ちゃん。フルーツは明日の朝食べればいいから」
「岳、潤くん一人でトイレに行けないらしいよ。真美ちゃんについて来て欲しいんだって」
「えー、なさけないぞ?じゅん」

いや、あの……と戸惑う真美の手を引いて、「じゃあな!」と潤はコテージに向かった。
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