小さな恋のトライアングル
グラタンが焼き上がり、スープやサラダもテーブルに並べたところで、潤から電話がかかってきた。

「はい、もしもし」
『望月、ごめん!すっかり遅くなった』
「いいえ。無事にお迎えに行って、今私のうちにいます。これから晩ご飯を食べるところなんですけど、岳くんって食べ物のアレルギーありますか?」
『いや、ないよ。ごめんな、色々と。本当に助かった、ありがとう。これからそっちに迎えに行ってもいい?』
「分かりました。住所をメッセージで送りますね。ゆっくりいらしてください」
『ああ、ありがとう』

通話を終えると住所をメッセージで送り、真美は岳に笑いかける。

「潤おじさん、これからここに来るって。食べながら待とうか」
「うん!いただきます」
「いただきます」

取り皿に少し移して冷ましたグラタンを、岳は大きな口でパクッと頬張る。

「おいしい!」
「ほんとに?良かったー」
「まみ、いいおよめさんになれるよ」
「そう?嬉しい!」
「うん。じゅんもよろこぶよ」
「あー、それはどうかな?」

苦笑いでごまかしつつ、二人で楽しく食べる夕食に、真美は新鮮な楽しさを感じていた。

「誰かとおしゃべりしながら食べるっていいね」
「え?じゅんとはたべないの?」
「あ、まあ、そうね。ここには来たことないかな?」
「そうなんだ。おれ、ゆずちゃんちいったことあるぜ?」
「おおー、がっくんかっこいい!」

気取った口調のドヤ顔の岳のセリフがツボにはまり、真美は笑いが止まらない。

「がっくん、モテるでしょ?」
「どうかな?」
「絶対モテるよー。だって潤おじさんと同じで、アイドルみたいに顔が整ってるもん」
「おとこはかおじゃないぜ、まみ」
「あはは!うん、確かに。がっくん分かってるねー」

夕食をぺろりと平らげた岳は、真美が食器を洗っている間にウトウトし始めた。

「がっくん、寝てていいよ」
「ん、だいじょうぶ」
「いいから。ほら、ベッドに入って」

布団をめくって促すと、岳は小さな足を踏ん張ってベッドに登り、コロンと横になる。

そのままスーッと眠りに落ちていった。
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