小さな恋のトライアングル
梅雨の合間の青空が広がる良き日。

真美は純白のウエディングドレスに身を包み、晴れてジューンブライドとなった。

いつか来るこの日の為にと、都は密かにティアラやイヤリング、お揃いのマリッジリングもデザインして制作を進めていた。

「何とか間に合って良かった。うん!真美ちゃん、とっても綺麗よ」

花嫁の控え室で、最後の仕上げにティアラを飾った都が満足気に鏡を覗く。

「ありがとうございます、お姉さん。こんなに素敵なティアラまで……」
「ふふっ、もちろん真美ちゃんの為のオーダーメイドよ。あー、本当によく似合ってて美しいわ。真美ちゃん、結婚おめでとう!真美ちゃんにはどんなに感謝してもし切れない。どうか幸せにね。そしてこれからも、私達家族をよろしくお願いします」

お姉さん……と、真美の目に早くも涙が込み上げる。

「こちらこそ、色々とありがとうございました。お姉さんのジュエリーを着けて、樹さんのホテルで結婚式を挙げられるのがとても嬉しいです。これからもどうぞよろしくお願いします」
「ええ。私達、もう家族ですもんね。嬉しい!私の妹、真美ちゃん!」
「ふふ、私もとっても嬉しいです、お姉さん」

笑顔で手を取り合っていると、コンコンとノックの音がした。

「花嫁様、そろそろお時間でございます」
「はい、今行きます」

真美が椅子から立ち上がると、都はピンクと白のブーケを真美に手渡し、ドレスの裾を持った。

「じゃあ、行きましょうか、真美ちゃん」
「はい、お姉さん」

二人で控え室を出ると、チャペルの扉の前に父の姿があった。

「おお、真美。見違えたぞ」
「お父さん」
「今日のお前は、これまでで一番綺麗だ。道端でひっそり咲いていたタンポポを、潤くんが見つけてくれたんだな。そしてこんなに美しく花開いた。真美、お前はもう大丈夫だ。潤くんのそばにいれば、必ず幸せになれるよ」
「お父さん……、ありがとう」
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