小さな恋のトライアングル
やがてオルガンの音色が聴こえてきて、扉が左右に大きく開かれる。
真美は父と腕を組み、一礼してからゆっくりとバージンロードを歩き始めた。
たくさんの拍手と祝福を受け、これまでの日々を思い出しながら一歩一歩踏みしめる。
そして真美はついに愛する人のもとへとたどり着く。
父と潤は互いに頭を下げた。
「潤くん、真美を見つけてくれてありがとう。どうか末永くよろしくお願いします」
「こちらこそ。真美さんに支えられ、私は幸せの道を見つけることが出来ました。これからは必ず私がこの手で真美さんを幸せにいたします」
父は頷いて真美の手を潤に託した。
「幸せにな、真美」
「ありがとう、お父さん」
潤は真美の手を自分の腕に掴まらせ、その上からしっかりと握りしめた。
「真美、すごく綺麗だ」
「ありがとう。潤さんも、王子様みたいに素敵」
ふんわりと広がるプリンセスラインのドレスは、パフスリーブや胸元のハートシェイプも可愛らしく、真美によく似合っている。
薄い水色のタキシードも、爽やかな潤のイメージに合っていた。
互いの姿に見惚れてから、二人は並んで後方の扉に目を向ける。
「それではこれより、お二人の愛の証となる結婚指輪を運んでいただきます。リングボーイを務めてくれるのは、新郎の甥、五十嵐 岳くん5歳です。皆様、どうぞ大きな拍手でお迎えください」
牧師様の言葉のあと、再び大きく扉が開かれた。
そこにちょこんと現れたのは、タキシードをビシッと着こなし、両手で大事そうにリングピローを持った、かっこ良くて可愛い岳の姿。
真美はそんな岳をひと目見て、満面の笑みを浮かべた。
「あらー、可愛いわね」
列席者の大きな拍手の中、岳はキリッとした顔つきのままバージンロードを歩いて、潤と真美のもとにたどり着いた。
潤がリングピローを受け取ると、真美はしゃがんで岳を抱きしめる。
「がっくん、ありがと」
耳元で囁くと、岳はにっこり笑って、真美の頬にチュウっとキスをした。
「キャー、素敵!」
女性達がキュンとしながら声を上げる。
「あらあら、岳ったら。リングボーイじゃなくてプレイボーイね」
「はははっ、都。上手いこと言うな」
ビデオを撮りながら、樹は都と笑い合う。
「おやおや、潤くんがショックで後ずさってる。悪いことしたなあ」
「そりゃ結婚式の最中に、自分の目の前で花嫁が他の男にキスされたらねえ。ハリウッド映画もびっくりの展開よ。だけど岳にだってこれくらいする権利はあるわ。ま、子どもっていいわよね。何をやっても許されちゃう」
「確かに。ってそれより、いい加減あの熱い抱擁を止めないと」
樹はそっと、岳!と声をかけて手招きした。
ようやく岳は真美から離れて列席者の席に戻る。
真美は潤の手を借りて立ち上がり、二人は腕を組んで牧師様に向き直った。
厳かに式が進行していく。
讃美歌を歌い、聖書の朗読のあと、結婚指輪の交換となった。
都がデザインしてくれた真美のマリッジリングは、エンゲージリングと重ねづけ出来るようになっており、ダイヤモンドとピンクのモルガナイトが交互にぐるっと一周している。
内側には、潤の指輪と真美の指輪のどちらにもブルーダイヤモンドが埋め込まれ、二人の名前とメッセージも刻印されていた。
潤の指輪には【True Love】
真美の指輪には【Pure Love】
「このメッセージの意味はね、潤は純粋の純、真美ちゃんは真実の真を取って、お互いに贈り合ってるの。純、はちょっとこじつけだけどね、えへへ」
そう都に教えられた時、真美は、なんて素敵なんだろうと胸が熱くなった。
その指輪が今、互いの指にはめられる。
これから先この指輪と共に、互いの愛がここに息づいていく。
真美は、潤の手によってゆっくりとはめられた指輪に、幸せの涙が込み上げてきた。
そんな真美に優しく微笑むと、潤はそっと真美のベールを上げる。
「真美、俺にたくさんの幸せを教えてくれてありがとう。ずっと一緒にいような」
「潤さん、私をたくさんの愛で包んでくれてありがとうございます。ずっとずっと一緒にいます」
潤は頷くと真美の肩に手を置き、慈しむようにキスをした。
二人の愛が確かにそこに感じられる、美しく輝くようなウエディングキス……
思わず目尻に浮かんだ涙を拭った都は、ふと視線を落とす。
隣で岳がぽろぽろと涙をこぼしていた。
「岳?悲しいの?」
「ううん、ちがう。むねがぽかぽかして、きゅーってなって、なみだがじわーってなったの」
「……そう」
都はそっと岳の頭を抱き寄せた。
真美は父と腕を組み、一礼してからゆっくりとバージンロードを歩き始めた。
たくさんの拍手と祝福を受け、これまでの日々を思い出しながら一歩一歩踏みしめる。
そして真美はついに愛する人のもとへとたどり着く。
父と潤は互いに頭を下げた。
「潤くん、真美を見つけてくれてありがとう。どうか末永くよろしくお願いします」
「こちらこそ。真美さんに支えられ、私は幸せの道を見つけることが出来ました。これからは必ず私がこの手で真美さんを幸せにいたします」
父は頷いて真美の手を潤に託した。
「幸せにな、真美」
「ありがとう、お父さん」
潤は真美の手を自分の腕に掴まらせ、その上からしっかりと握りしめた。
「真美、すごく綺麗だ」
「ありがとう。潤さんも、王子様みたいに素敵」
ふんわりと広がるプリンセスラインのドレスは、パフスリーブや胸元のハートシェイプも可愛らしく、真美によく似合っている。
薄い水色のタキシードも、爽やかな潤のイメージに合っていた。
互いの姿に見惚れてから、二人は並んで後方の扉に目を向ける。
「それではこれより、お二人の愛の証となる結婚指輪を運んでいただきます。リングボーイを務めてくれるのは、新郎の甥、五十嵐 岳くん5歳です。皆様、どうぞ大きな拍手でお迎えください」
牧師様の言葉のあと、再び大きく扉が開かれた。
そこにちょこんと現れたのは、タキシードをビシッと着こなし、両手で大事そうにリングピローを持った、かっこ良くて可愛い岳の姿。
真美はそんな岳をひと目見て、満面の笑みを浮かべた。
「あらー、可愛いわね」
列席者の大きな拍手の中、岳はキリッとした顔つきのままバージンロードを歩いて、潤と真美のもとにたどり着いた。
潤がリングピローを受け取ると、真美はしゃがんで岳を抱きしめる。
「がっくん、ありがと」
耳元で囁くと、岳はにっこり笑って、真美の頬にチュウっとキスをした。
「キャー、素敵!」
女性達がキュンとしながら声を上げる。
「あらあら、岳ったら。リングボーイじゃなくてプレイボーイね」
「はははっ、都。上手いこと言うな」
ビデオを撮りながら、樹は都と笑い合う。
「おやおや、潤くんがショックで後ずさってる。悪いことしたなあ」
「そりゃ結婚式の最中に、自分の目の前で花嫁が他の男にキスされたらねえ。ハリウッド映画もびっくりの展開よ。だけど岳にだってこれくらいする権利はあるわ。ま、子どもっていいわよね。何をやっても許されちゃう」
「確かに。ってそれより、いい加減あの熱い抱擁を止めないと」
樹はそっと、岳!と声をかけて手招きした。
ようやく岳は真美から離れて列席者の席に戻る。
真美は潤の手を借りて立ち上がり、二人は腕を組んで牧師様に向き直った。
厳かに式が進行していく。
讃美歌を歌い、聖書の朗読のあと、結婚指輪の交換となった。
都がデザインしてくれた真美のマリッジリングは、エンゲージリングと重ねづけ出来るようになっており、ダイヤモンドとピンクのモルガナイトが交互にぐるっと一周している。
内側には、潤の指輪と真美の指輪のどちらにもブルーダイヤモンドが埋め込まれ、二人の名前とメッセージも刻印されていた。
潤の指輪には【True Love】
真美の指輪には【Pure Love】
「このメッセージの意味はね、潤は純粋の純、真美ちゃんは真実の真を取って、お互いに贈り合ってるの。純、はちょっとこじつけだけどね、えへへ」
そう都に教えられた時、真美は、なんて素敵なんだろうと胸が熱くなった。
その指輪が今、互いの指にはめられる。
これから先この指輪と共に、互いの愛がここに息づいていく。
真美は、潤の手によってゆっくりとはめられた指輪に、幸せの涙が込み上げてきた。
そんな真美に優しく微笑むと、潤はそっと真美のベールを上げる。
「真美、俺にたくさんの幸せを教えてくれてありがとう。ずっと一緒にいような」
「潤さん、私をたくさんの愛で包んでくれてありがとうございます。ずっとずっと一緒にいます」
潤は頷くと真美の肩に手を置き、慈しむようにキスをした。
二人の愛が確かにそこに感じられる、美しく輝くようなウエディングキス……
思わず目尻に浮かんだ涙を拭った都は、ふと視線を落とす。
隣で岳がぽろぽろと涙をこぼしていた。
「岳?悲しいの?」
「ううん、ちがう。むねがぽかぽかして、きゅーってなって、なみだがじわーってなったの」
「……そう」
都はそっと岳の頭を抱き寄せた。