小さな恋のトライアングル
チャペルの隅々にまで、讃美歌の美しい音色が響き渡る。

全ての涙や心の痛みを癒やしてくれるかのように。

樹と都はこれまでの道のりを感慨深く思い出し、同時に二度と離れたりはしないと心に誓った。

そして互いに指輪を交換する。

3つ重ねると、内側に1つのハートが浮かび上がるデザインは、もちろん都が考えたもの。

1つは樹、もう1つは都、そして3つ目は岳にキーホルダーとして渡した。

「これをもって二人を夫婦と認め、三人を親子と認めます」

牧師様の言葉に、皆が一斉に拍手で祝福する。

樹が岳を抱き上げ、都が岳の頬にキスをし、最後に樹が都に愛を込めて口づけた。

ありったけの想いを込めて拍手を送りながら、真美はとめどなく涙を流し続ける。

こんなにも尊く、絆の固い家族がいるだろうか。

(良かった、お姉さんもがっくんも樹さんも、本当に良かった)

ぽろぽろと涙をこぼす真美を、潤は左手で優しく抱き寄せ、右手を真美のお腹に当てるとそっと髪に口づける。

「俺も必ず幸せにするから。真美とこの子を」

耳元で囁かれる声に、真美はまた新たな涙を流す。

優しく微笑みかけてくれる潤に、真美も笑顔で頷いた。
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