小さな恋のトライアングル
心温まるプレゼント
「真美さん、12時過ぎましたよ。社食行きましょ!」
オフィスでのランチタイム。
隣の席から声をかけてきた2つ後輩の若菜に、真美は「はーい」と返事をする。
「今保存するからちょっと待ってね、若菜ちゃん。あれ?紗絵さんは?」
「それが、ずっと課長と話し込んでて……」
若菜の視線の先を追うと、課長のデスクで身を屈めながら熱心に話し合っている潤と紗絵の姿があった。
「ほんとだ。じゃあお先に行かせてもらおうか」
「そうですね」
小さいバッグを手に「お昼行ってきます」と声をかけてから、真美は若菜と二人でオフィスを出る。
食堂は既に多くの社員で席が埋まっていた。
「あ、真美さん!あそこ空いてます」
トレーに日替わりランチを載せて、二人で窓際の席に着く。
「いただきまーす。美味しそう!」
チキン南蛮を頬張り、満足気に味わっていると、若菜が声を潜めて話しかけてきた。
「ね、真美さん」
「ん?なあに」
「紗絵さんって、五十嵐課長と同期なんですよね?やっぱり昔から仲良かったんですか?」
「課長と紗絵さんがってこと?私も4歳離れてるから昔のことは分からないけど、お二人でよく相談してるのはずっと変わらないよ。お互いに信頼し合ってる感じ」
「信頼かあ……。それって、あくまで仕事仲間としてってことですよね?つき合ってるとか、そういう訳ではないですよね?」
箸を持つ手を止めて、真美は、ん?と若菜の顔を見る。
「若菜ちゃん、課長ラブの人だったっけ?確か彼氏いたよね?」
「それが、先月別れたんです」
「え、そうだったの?」
それにしては、落ち込んだ様子もなかった。
「長くつき合ってると、色々とマンネリ化しちゃって……。彼といてもちっともときめかないし、彼も彼で私のこと、飽きてるみたいだったし。なんて言うか、二人とも気持ちがニュートラルに入っちゃって。嫌いじゃないけど好きでもない、みたいな」
「そうなんだ……」
「だからお互い、一度別れることにしたんです」
若菜のセリフに、真美は首を傾げる。
「一度別れるって、つまり試しに離れてみようってこと?復縁もあり得るの?」
「まあ、そうですね。お互い他の人に目を向けてみて、それでもいい人が見つからずに、やっぱりあの人が良かったなって思えたら、元サヤかもしれません」
「え、でもそれって、どちらかが復縁を望んでも、相手が別の人のところに行ったらどうなるの?」
「その時は潔く諦めます」
「そうなんだ!」
真美は視線を落として考え込む。
(そんなふうに割り切れるものなのかな?私だったら無理かも。若菜ちゃん、なんだか大人だな)
すると若菜が身を乗り出してきた。
「真美さんは?恋愛のお話、全然してくれませんけど」
「え?ああ。私はね、これと言って誰かとつき合うきっかけもなくて」
「またまたー。その気になればいくらでも彼氏出来ますよ?真美さん、控えめ美人って感じで、高嶺の花みたいに思われちゃうだけで、狙ってる男の人は結構いると思いますよ?」
はっ?!と真美は声を上ずらせて固まる。
「ちょ、誰のこと言ってるの?若菜ちゃん」
「もちろん、真美さんのことですよ」
「嘘でしょ?私、社会人になってから誰かに声かけられたことなんてないよ?」
「ですからそれは、真美さんに隙がないからです。あー、きっと彼氏いるんだろうなーって思い込まれちゃうんですよね」
いやいや、そんなことないから!と否定していると、若菜がふと顔を上げて遠くを見た。
オフィスでのランチタイム。
隣の席から声をかけてきた2つ後輩の若菜に、真美は「はーい」と返事をする。
「今保存するからちょっと待ってね、若菜ちゃん。あれ?紗絵さんは?」
「それが、ずっと課長と話し込んでて……」
若菜の視線の先を追うと、課長のデスクで身を屈めながら熱心に話し合っている潤と紗絵の姿があった。
「ほんとだ。じゃあお先に行かせてもらおうか」
「そうですね」
小さいバッグを手に「お昼行ってきます」と声をかけてから、真美は若菜と二人でオフィスを出る。
食堂は既に多くの社員で席が埋まっていた。
「あ、真美さん!あそこ空いてます」
トレーに日替わりランチを載せて、二人で窓際の席に着く。
「いただきまーす。美味しそう!」
チキン南蛮を頬張り、満足気に味わっていると、若菜が声を潜めて話しかけてきた。
「ね、真美さん」
「ん?なあに」
「紗絵さんって、五十嵐課長と同期なんですよね?やっぱり昔から仲良かったんですか?」
「課長と紗絵さんがってこと?私も4歳離れてるから昔のことは分からないけど、お二人でよく相談してるのはずっと変わらないよ。お互いに信頼し合ってる感じ」
「信頼かあ……。それって、あくまで仕事仲間としてってことですよね?つき合ってるとか、そういう訳ではないですよね?」
箸を持つ手を止めて、真美は、ん?と若菜の顔を見る。
「若菜ちゃん、課長ラブの人だったっけ?確か彼氏いたよね?」
「それが、先月別れたんです」
「え、そうだったの?」
それにしては、落ち込んだ様子もなかった。
「長くつき合ってると、色々とマンネリ化しちゃって……。彼といてもちっともときめかないし、彼も彼で私のこと、飽きてるみたいだったし。なんて言うか、二人とも気持ちがニュートラルに入っちゃって。嫌いじゃないけど好きでもない、みたいな」
「そうなんだ……」
「だからお互い、一度別れることにしたんです」
若菜のセリフに、真美は首を傾げる。
「一度別れるって、つまり試しに離れてみようってこと?復縁もあり得るの?」
「まあ、そうですね。お互い他の人に目を向けてみて、それでもいい人が見つからずに、やっぱりあの人が良かったなって思えたら、元サヤかもしれません」
「え、でもそれって、どちらかが復縁を望んでも、相手が別の人のところに行ったらどうなるの?」
「その時は潔く諦めます」
「そうなんだ!」
真美は視線を落として考え込む。
(そんなふうに割り切れるものなのかな?私だったら無理かも。若菜ちゃん、なんだか大人だな)
すると若菜が身を乗り出してきた。
「真美さんは?恋愛のお話、全然してくれませんけど」
「え?ああ。私はね、これと言って誰かとつき合うきっかけもなくて」
「またまたー。その気になればいくらでも彼氏出来ますよ?真美さん、控えめ美人って感じで、高嶺の花みたいに思われちゃうだけで、狙ってる男の人は結構いると思いますよ?」
はっ?!と真美は声を上ずらせて固まる。
「ちょ、誰のこと言ってるの?若菜ちゃん」
「もちろん、真美さんのことですよ」
「嘘でしょ?私、社会人になってから誰かに声かけられたことなんてないよ?」
「ですからそれは、真美さんに隙がないからです。あー、きっと彼氏いるんだろうなーって思い込まれちゃうんですよね」
いやいや、そんなことないから!と否定していると、若菜がふと顔を上げて遠くを見た。