小さな恋のトライアングル
「あ、あの、望月。色々とほんとにごめん!」

潤に頭を下げられ、いえいえと真美は取り繕う。

(な、なんだったの?一体。まるで嵐が過ぎ去ったかのよう)

正座して神妙に向き合っている潤と真美の間を、ブーン!と岳が何度も通り過ぎる。

ヒラヒラとマントが顔の前を舞い、どうにも真面目にやり取り出来ない。

「えっと、とにかく今日はこれで帰ります。ごめんな」
「いえ、大丈夫です。では今タクシーを呼びますね」
「うん、ありがとう」

潤は立ち上がると荷物をまとめて岳に声をかけた。

「岳、帰るぞ」
「うん!これきててもいい?」
「ええ?うん、まあ、タクシーだからいいけど」
「やった!」

両手にたくさんの荷物を持った潤の代わりに、真美が岳の手を繋いで部屋を出る。

二人に続いて玄関に向かった潤は、ふと小さな本棚の上にコルクボードがあるのに気づいた。
そこに飾られていたのは、岳が描いたあの絵。

立ち止まってじっと見つめてから、潤はふっと優しく笑って部屋を出た。
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