小さな恋のトライアングル
軽やかなワルツが流れ始め、ドレスを着た女の子と蝶ネクタイをつけた男の子のペアが、手を取り合って踊りながら舞台の中央に集まって来る。
音楽が盛り上がりを見せ、カップル達が踊りを止めて左右にはけた。
舞台の真ん中に皆が注目がする中、ブルーのドレスのシンデレラの手を引いて現れたのは……
(きゃーー!がっくん!)
思わず真美は息を止め、右手で隣に座る潤の袖をギュッと掴んだ。
ん?と潤が視線を向けると、真美は舞台の上の岳をじっと見つめたまま固まっている。
「望月、大丈夫か?息してるか?」
小声で囁くが、真美は潤の服を握りしめ、前を凝視したままピクリとも動かない。
仕方なく潤も舞台に目を戻した。
岳は華やかな音楽に合わせて、シンデレラと楽しそうにくるくる踊っている。
そこに、ボーン、ボーンと時計の音が鳴り響く。
「たいへん!まほうがきえてしまうわ」
走り出すシンデレラを、岳が追いかける。
「まってください!おじょうさん」
舞台袖にシンデレラが消え、岳は幕の近くに落ちていたガラスの靴を拾い上げる。
「このくつがあうおじょうさんをさがそう」
バタバタと大勢の兵隊さんが現れ、岳と一緒に歩いて行く。
下手から、カラフルなドレス姿の女の子が賑やかに現れた。
「ガラスのくつは、わたしのものよ」
「いいえ。わたしのものよ」
岳が順番に女の子達の前に立ち、ガラスの靴を差し出す。
「だれもこのくつがはいらない。これはいったい、だれのくつだ?」
「わたしのくつです。おうじさま」
ブルーのドレスを着たシンデレラが岳の前に歩み出る。
「おお、あなたですね、おじょうさん。どうかわたしと、けっこんしてください」
「はい、おうじさま」
うひゃー!と、真美は潤の袖を掴んでいる手に力を込めた。
「望月、痛い。俺の腕の肉も掴んでる」
潤が顔をしかめながら小声で囁くが、やはり真美の耳には届かない。
それどころか、クライマックスで再びシンデレラと踊り始めた岳に、真美はますます潤の腕をつねり上げる。
(ううっ……、がっくん輝いてる。ほんとにかっこいい!キラキラした王子様!)
『こうしてシンデレラは王子様といつまでも幸せに暮らしました。めでたし、めでたし』
ナレーションが締めくくり、舞台に出演者全員が並んで笑顔で手を振る。
(がっくん!良かったよー、がんばったね!)
ようやく潤の袖を離し、真美は目を潤ませながら精いっぱいの拍手を送った。
音楽が盛り上がりを見せ、カップル達が踊りを止めて左右にはけた。
舞台の真ん中に皆が注目がする中、ブルーのドレスのシンデレラの手を引いて現れたのは……
(きゃーー!がっくん!)
思わず真美は息を止め、右手で隣に座る潤の袖をギュッと掴んだ。
ん?と潤が視線を向けると、真美は舞台の上の岳をじっと見つめたまま固まっている。
「望月、大丈夫か?息してるか?」
小声で囁くが、真美は潤の服を握りしめ、前を凝視したままピクリとも動かない。
仕方なく潤も舞台に目を戻した。
岳は華やかな音楽に合わせて、シンデレラと楽しそうにくるくる踊っている。
そこに、ボーン、ボーンと時計の音が鳴り響く。
「たいへん!まほうがきえてしまうわ」
走り出すシンデレラを、岳が追いかける。
「まってください!おじょうさん」
舞台袖にシンデレラが消え、岳は幕の近くに落ちていたガラスの靴を拾い上げる。
「このくつがあうおじょうさんをさがそう」
バタバタと大勢の兵隊さんが現れ、岳と一緒に歩いて行く。
下手から、カラフルなドレス姿の女の子が賑やかに現れた。
「ガラスのくつは、わたしのものよ」
「いいえ。わたしのものよ」
岳が順番に女の子達の前に立ち、ガラスの靴を差し出す。
「だれもこのくつがはいらない。これはいったい、だれのくつだ?」
「わたしのくつです。おうじさま」
ブルーのドレスを着たシンデレラが岳の前に歩み出る。
「おお、あなたですね、おじょうさん。どうかわたしと、けっこんしてください」
「はい、おうじさま」
うひゃー!と、真美は潤の袖を掴んでいる手に力を込めた。
「望月、痛い。俺の腕の肉も掴んでる」
潤が顔をしかめながら小声で囁くが、やはり真美の耳には届かない。
それどころか、クライマックスで再びシンデレラと踊り始めた岳に、真美はますます潤の腕をつねり上げる。
(ううっ……、がっくん輝いてる。ほんとにかっこいい!キラキラした王子様!)
『こうしてシンデレラは王子様といつまでも幸せに暮らしました。めでたし、めでたし』
ナレーションが締めくくり、舞台に出演者全員が並んで笑顔で手を振る。
(がっくん!良かったよー、がんばったね!)
ようやく潤の袖を離し、真美は目を潤ませながら精いっぱいの拍手を送った。