小さな恋のトライアングル
「いっただっきまーす!」

ダイニングテーブルにご飯とコロッケ、みそ汁を並べると、早速岳はパクパクと食べ始める。

「岳、よく噛んで食べろよ?」
「わかってるって。それよりさ、じゅん。さっきの『まみ』って、かのじょ?」

ブホッと潤はみそ汁を吹き出す。

「きたないなー。もっとおぎょうぎよくたべろよ」

テーブルの上のティッシュを抜き取って渡しながら、岳はニヤリと笑った。

「やっぱりかのじょなんだ?」
「違うわ!」
「うわー、いっしょだな」
「何がだよ?」
「きのう、ももこせんせいのかれしがむかえにきたんだ。みんなで、せんせいのかれし?ってきいたら、ちがう!って。じゅんみたいにいってた」

もう、なんなんだ、最近の若いもんは……と潤はぶつぶつ呟く。

「いいか?岳。さっきの人は叔父さんの会社の同僚だ。一緒に働いてる仲間。分かるか?」
「うん。おふぃすらぶ」

ゴホッと今度はコロッケを喉に詰まらせた。

「が、岳!一体、保育園で何を習ってるんだ?」
「ゆずちゃんがいろいろおしえてくれるの。パパとママ、おふぃすらぶでけっこんしたんだーって。じゅんもまみと、おふぃすらぶでけっこんするの?」
「するかよ!いいか、岳。今度またあのお姉さんに会っても、余計なことは言うなよ?」
「よけいなこと?って、なに?」
「えっと、だから。その、オフィスなんちゃら、とか。結婚がどうとか」
「うん、わかった!」

あっさり答える岳に潤は、信用ならないとばかりに肩を落としていた。
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