小さな恋のトライアングル
「課長、がっくんと公園に行ってきますね」

朝食のあとソファでパソコンを広げた潤に、真美が声をかける。

岳には外で遊ぶ時間が必要だし、潤にも落ち着いて仕事をして欲しかった。

「ああ、ありがとう。公園の行き方は岳が知ってるから」
「はい。じゃあ、案内してくれる?がっくん」

うん!と元気良く返事をして、岳は真美の手を引いて玄関に向かう。

「気をつけて」
「はい、行ってきます」

潤に見送られ、真美は岳と手を繋いで玄関を出た。

ウイーンとエレベーターで1階まで下りる。

「なんだか改めて見ると、このマンションってホテルみたいに素敵だね」
「まあな。じゅん、かねもちだよな」
「ふふ、課長さんだからね。そう言えば、がっくんとママのおうちは?保育園から近いの?」
「うん。じてんしゃでビューンっていったらつくよ」
「そうなんだ!じゃあ、私のマンションからも案外近いのかもね」

エントランスを出ると、冬の風が吹き抜けて思わず首をすくめた。

「がっくん、風邪引かないでね。マフラーしっかり巻こうか」

真美はしゃがんで、岳のマフラーを隙間なく整える。

「これで寒くない?」
「うん!まみがだいすき」
「え?なあに?急に」
「だって、いままみのことすきだなっておもったから」
「そっか。私もがっくんのこと、だーいすきだよ」

二人で微笑み合い、手を繋いで歩き出した。
< 62 / 168 >

この作品をシェア

pagetop