小さな恋のトライアングル
「たっだーいまー!」

岳の元気な声が聞こえてきて、潤は玄関に出迎えに行く。

「おかえり。たくさん遊んでもらったな、岳」
「うん!たのしかった。うがいてあらいしてくる!」

岳が洗面所に向かうと、潤は真美が肩に掛けていたエコバッグをスッと手にした。

「あ、ありがとうございます。ついでにスーパーで買い物してきました。やっぱり地震の影響で仕入れが不安定ですね。色々、品薄でした」
「そうか、ありがとう。無理して毎食作ってくれなくても構わないから」
「はい、大丈夫です。すぐにお昼ご飯の準備しますね」
「いいよ。コーヒー淹れるから、まずは休憩して」

潤はエコバッグの中の食材を冷蔵庫にしまうと、コーヒーを淹れてローテーブルに運ぶ。

「ありがとうございます。がっくんも、麦茶飲む?」
「うん!」

ソファに並んでコーヒーと麦茶を飲みながら、真美と岳はまた楽しそうに話し出す。

「がっくん、今日のお昼ご飯はあったかい天ぷらそばだよ。晩ごはんはね、手巻き寿司」
「おすし?やったー!てまきってなに?」
「自分で手で巻いて食べるお寿司だよ」
「すごーい!おすしパーティーだ!」

潤は思わずふっと笑みをもらした。

「岳、毎日がパーティーだな」
「そうだよ。エブリデイがパーティー!」
「おっ?よくそんな英語知ってたな」
「あたりまえよ。アイラブユーだってしってるんだからな」
「いつ使うんだよ、それ」
「いざってときに」

あはは!と潤はお腹を抱えて笑い出す。

「いざって時?どんな時だよ。想像したら面白いな」
「じゅんも、いざってときにはつかえよ?」
「分かった。いつか使ってみるよ」

二人の会話を聞きながら、真美も思わず頬を緩めつつ、キッチンで料理を始めた。
< 65 / 168 >

この作品をシェア

pagetop