小さな恋のトライアングル
「わー、サンタさんのクッキーだ!」

お昼寝から起きた岳は、真美の手作りのケーキとクッキーに目を輝かせる。

真美はサンタクロースとトナカイ、クリスマスツリーやプレゼント、雪の結晶などを描いたアイシングクッキーを作り、イチゴを載せたホールケーキと一緒に持って来ていた。

「がっくん。このクッキーをケーキに飾ってね。どれでも好きなものを使っていいよ」
「うん!じゃあ、まずはサンタさん!あと、トナカイさんと、ツリーと、プレゼントと……」

都が、あはは!と笑い出す。

「岳、結局全部載せるんじゃない。てんこ盛りだねー。豪華!」
「まみのスペシャルケーキだからな」
「そうだね。真美ちゃんが岳の為に作ってくれた、世界に1つだけのケーキだよ。良かったねー、岳」

うん!と岳は満面の笑みを浮かべる。

早速切り分けて食べると、真美は岳にプレゼントを渡した。

「はい、がっくん。私からのクリスマスプレゼント」
「ありがとう!まみ。あけてもいい?」
「もちろん、どうぞ」

岳はわくわくした様子でリボンを解き、袋の中に手を入れた。

「え?なにこれ……。あ!カメラだ!」

ええ?!と都が声を上げる。

「真美ちゃん、そんな高価な物を?」
「あ、違います。これはキッズカメラなんです」

へえ、と潤は岳の手元を覗き込んだ。

岳は箱をバリバリ開けると、中からコロンとした小ぶりのカメラを取り出した。

水色で子どもの手にも馴染みやすく、液晶画面も大きい。

操作も簡単で、岳は迷うことなく電源ボタンを押し、カメラを構えた。

「ママー、とるよー」
「イエーイ!」

カシャッと音がして、岳は画面を確かめる。

「あ、とれた!」
「どれどれ?おー、よく撮れてる!」

潤も横から顔を寄せた。

「ほんとだ。子ども向けとは思えない画質だな」

岳は嬉しそうにまたカメラを構える。

「まみ、はいチーズ!」

真美がにこっと笑うと、岳はシャッターを押してまた画面を見た。

「まみ、かわいい!」
「ほんと?嬉しいなー。がっくん、一緒に撮らない?」
「とるー!じどりー!」
「あはは!そうだね。自撮りー」

真美とほっぺたをくっつけて手を伸ばし、岳はカシャッとシャッターを押す。

「あー、おれのかお、ちょっときれちゃった」
「でもよく撮れてるよ。いいね、この写真」
「うん!ほぞんしておく」
「確かね、デコったりも出来るんだよ。フレームとかスタンプとかで」
「そうなの?やるー!」

岳はカメラに夢中になり、その後もひたすらカシャカシャと撮りまくっていた。
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