小さな恋のトライアングル
『真美、仕事終わったら真美のマンションに行ってもいい?』

昼休み。
若菜や紗絵と食堂でランチを食べていた真美は、画面に表示されたメッセージにハッとして、慌ててスマートフォンをテーブルの下に隠す。

『ねえ、いいでしょ?』
『真美ちゃーん!』
『早く返事くれないと、声かけるよ』
『いいのかなー?』

次々と送られてくるメッセージに、真美は顔を上げて正面を睨んだ。

少し離れた席で、しれっとした顔でスマートフォンを操作している潤が、ん?とばかりに真美と視線を合わせてくる。

「真美さん、なんか立て続けにバイブ震えてましたね。メッセージですか?」
「ああ!うん、なんかね、迷惑メールみたい」

若菜に聞かれて咄嗟に取り繕っていると、またしてもかすかにバイブの音がした。

『真美ー!』
『愛してるよ』
『行ってもいいでしょ?』
『ね?』

真美はムキーとなって、『わかりました!』と素早く返信する。

『ありがと!』
『楽しみにしてるよ』
『愛してる』
『俺の真美』

ブーッブーッと震えっぱなしのスマートフォンを握りしめ、真美は頬を膨らませて潤を睨んだ。

『怒った顔もかわい!』

もう限界だとばかりに、真美はこれ見よがしにスマートフォンをバッグの中にしまい込む。

潤はクスッと笑うとようやくスマートフォンをテーブルに置き、隣の平木としゃべりながら食事を始めた。
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