小さな恋のトライアングル
「はあ。久しぶりの真美の手料理、ほんとに美味しい!」
「ふふっ。たくさん食べてくださいね」

懐かしいあの時間が戻ってきた。

潤は心からホッとして、真美が作った肉じゃがや白菜のスープ、小鉢の和え物を次々と平らげる。

食後のコーヒーを淹れると、潤は改めて真美と向き合った。

「真美。明日が仕事納めで、しばらく年末年始の休暇に入るだろ?その間に、ご両親に挨拶させてもらえないか?」

えっ!と真美は驚く。

「私の両親に?」
「ああ。真美には、すぐにでも俺のマンションに引っ越して来て欲しいんだ。その前にご両親にきちんとご挨拶したい。真美と、結婚を前提におつき合いさせて欲しいって」
「そ、そんな大事なこと、今決めて大丈夫なの?」
「そんなって、結婚のこと?もちろんだよ。真美には改めてちゃんとプロポーズする。だけどこの気持ちは絶対に変わらない。俺はずっと真美のそばにいて、真美を一生幸せにしてみせる」

真美の瞳にみるみるうちに涙が溢れ、ぽろぽろとこぼれ落ちた。

「真美。もう絶対に一人で寂しい思いはさせないから。俺のそばで、いつも笑っていて欲しい」

そう言って潤は真美の涙をそっと指で拭い、優しく笑いかける。

「俺と暮らそう、真美。毎日一緒にご飯を食べて、おしゃべりして、一緒に眠ろう。賑やかで楽しかったあの時間を取り戻そう。これから先も、ずっと」
「あの時の……、あんなにも幸せだった日々が、戻ってくるの?」
「そうだよ」
「朝起きたら、おはようって言ってくれるの?寝る前には、おやすみって?」
「もちろん。真夜中に目が覚めても、真美は俺の腕の中にいるんだよ」
「嬉しい……。私、もう寂しくならないのね?」

たまらず潤は、真美をギュッと抱きしめた。

「二度と真美に寂しい思いはさせない。約束する」
「うん。ありがとう、潤さん」

涙のあとが残る顔で笑ってみせる真美に、潤はまた優しくキスをした。
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