北帝連―Taiju×shinobu編
不良は悪い人間のはず。
現に今だって、中学生なのに咥えタバコで自転車をイジっている。
「ほらよ、直ったぞ」
「あ‥ありがとうございます」
「じゃあな」
「え‥あ、はい」
なんでだろう。
この人は不良なのに、何の見返りも無しに俺に優しくしてくれる。
それにひきかえ、野球部の先輩は見返りを求めて俺をカモにするどころか、叩いたり蹴ったりジュースを買って来いといって俺に辛く当たる。
「あのっ、先輩」
「‥‥?」
俺を弱いと言った貴方は、どのくらい強いんですか。
「‥マミ先輩って、可愛いですよね」
「マミ?アハハ、そうだな。
ちょっと変な奴だけど」
忍はどのくらい、強く見えましたか。
「俺、大樹って言います」
中学生になり、教師や先輩など縦社会の嫌な側面を目の当たりにし始めていた俺だが、この人は他と違う、カッコイイ側の人間なんだろうなと感じ取っていた。
「俺は牧村良平。よろしくな」
「はい」