北帝連―Taiju×shinobu編
完全なる言いがかり。そして恐喝。
こちらの言い分を聞く耳なんて、最初から無いことなんて百も承知だが、焦っていた俺は二人に両手を見せた。
「あ、あの‥オレ野球やってて、爪とか伸ばした事ないんです!」
「だから?傷なんて爪じゃなくても10円玉とかで簡単に付けれんだろ」
「いや、そうですけど‥俺は何も‥」
「触ってたよな、ココ」
「‥‥‥」
「どうなんだよ」
「‥‥触って‥ました‥」
不運だったのは、おそらく始めから付いていた傷の場所が、たまたま俺が手を置いたタンクの同じ場所だった事。
これはもう逃げられないと悟った。
「弁償すんだろ?」
「‥いえ、お金は‥」
「は?
ならオメーの顔にも同じ様に傷つけてやっか?」
「‥‥‥」
すると、黙って見ていた忍が、急にスッと前に出たかと思うと、何を血迷ったか突然、単車のタンクにペタッと手を置いた。
「‥‥あ?何やってんだよ、テメー」
「やっぱ手を置いただけじゃ傷付かないっすね。
こいつが触った時、俺より軽く触ってましたよ」
「‥‥‥‥」
「もちろん10円玉とかで傷つけたりもしてないですし、こいつが手を引いた後、隠す素振りとかもなかったの見てますよね」
「‥ガキ、俺らが言いがかりつけてるって言いてえのか」
「はい」
「‥‥‥‥」