『准教授・駿河台ひばり』 ~変人・奇人の時代~  【新編集版】
 翌日、渋谷で手土産を買って、()(かしら)線に乗り、教授の自宅の最寄り駅に向かった。
 吉祥寺の一つ手前の駅、井の頭公園駅で降りて改札を抜けると、すぐ右側に公園が広がっていた。
 約束した14時まで少し余裕があるので池の周りを散歩することにしたが、平日なのに結構人が多かった。
 ほとんどの人はマスクをしているので不安はなかったが、それでも念のためにできるだけ人が少ないところを探して歩いた。
 
 ひょうたん橋を渡って左手にまっすぐ進むと何隻ものボートが湖で遊んでいた。
 その先を目で追うと、左側に橋とボート乗り場が見えた。
 七井(なない)橋だ。
 丁度池の真ん中を横断しているようにかかっている。
 その橋の中央辺りに人が集まっているので、何かいるのかな、と思って近づいてみると、水に浮いた巣の上でじっとしている水鳥が目に入った。
 全体的にこげ茶色で首のところだけが赤くなっているので、カルガモとは違うしな~と思いながらカメラやスマホを構える人たちの話を聞いていると、カイツブリだということがわかった。
 親鳥になっても30センチに満たない大きさだという。

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