『准教授・駿河台ひばり』 ~変人・奇人の時代~ 【新編集版】
リビングに通されたので手土産のプチケーキセットを差し出すと、「ありがとう」と受け取ってくれたが、何故か悪戯っぽい笑みが浮かび、「お茶もいいけど、お酒にしない?」と誘うような目で見つめられた。
「お昼からですか?」と言ってはみたものの、すぐに口角が上がってしまった。
否定する理由なんてあるはずがなかった。
おいしいお酒が出てくるに違いないのだ。
だからすぐに頷くと、「決まりね」とウインクのようなものを投げて隣のキッチンへ向かい、ボトルとグラスを2つ持って戻ってきた。
「これ、おいしいのよ」
フランスの白ワインだという。
教授は慣れた手つきでキャップを外してコルクを抜いて、大きくてふくよかな丸みを帯びたモンラッシェ型のグラスに注いだ。
「このリースリングはちょっと違うわよ。それに、こうやってすると飲みやすいしね」
フェイスシールドの先っぽを持ち上げてグラスを口に当てて優雅に飲み込むと、「ん~、最高」と満面笑みになった。
「では、いただきます」
たまらなくなってマスクを外してから同じように先っぽを持ち上げて一口飲むと、半端なかった。
辛口なのにまろやかで、すっきりしているのに複雑な味が感じられて、それに上品な甘味があとから追いかけてくる。
「トレビアン♪」
思わず歌うような声が口を衝いた。
「かなりいけるでしょ」
笑みが返ってきたのでクイックモーションで二度頷くと、「アルザスの白は最高なのよ」と自慢げな表情で見つめられた。
しかし、アルザスというのがわからなかった。
だからすぐに地図を頭に思い浮かべてフランスの東西南北すべてを探し回ったが、その場所に辿り着くことはなかった。
「お昼からですか?」と言ってはみたものの、すぐに口角が上がってしまった。
否定する理由なんてあるはずがなかった。
おいしいお酒が出てくるに違いないのだ。
だからすぐに頷くと、「決まりね」とウインクのようなものを投げて隣のキッチンへ向かい、ボトルとグラスを2つ持って戻ってきた。
「これ、おいしいのよ」
フランスの白ワインだという。
教授は慣れた手つきでキャップを外してコルクを抜いて、大きくてふくよかな丸みを帯びたモンラッシェ型のグラスに注いだ。
「このリースリングはちょっと違うわよ。それに、こうやってすると飲みやすいしね」
フェイスシールドの先っぽを持ち上げてグラスを口に当てて優雅に飲み込むと、「ん~、最高」と満面笑みになった。
「では、いただきます」
たまらなくなってマスクを外してから同じように先っぽを持ち上げて一口飲むと、半端なかった。
辛口なのにまろやかで、すっきりしているのに複雑な味が感じられて、それに上品な甘味があとから追いかけてくる。
「トレビアン♪」
思わず歌うような声が口を衝いた。
「かなりいけるでしょ」
笑みが返ってきたのでクイックモーションで二度頷くと、「アルザスの白は最高なのよ」と自慢げな表情で見つめられた。
しかし、アルザスというのがわからなかった。
だからすぐに地図を頭に思い浮かべてフランスの東西南北すべてを探し回ったが、その場所に辿り着くことはなかった。