『准教授・駿河台ひばり』 ~変人・奇人の時代~ 【新編集版】
「松本虎雄先生の碑よ」
教授が手を合わせて頭を下げたので訳もわからないままに追随したが、殉職した小学校教師の碑だと聞いて、他人事ではなくなった。
遠足中に上水に落ちた生徒を助けようとして飛び込んだが、濁流にのみ込まれて帰らぬ人になったのだという。
まだ33歳の若さだったらしい。
それは大正8年のことで、美談として評判になったということだった。
「危険を顧みずに生徒を救おうとしたその勇気を称えて碑が建てられたの」
教授がもう一度手を合わせて頭を下げたので、わたしも心を込めて手を合わせて頭を下げた。
そしてご冥福を祈りながら、同じ教える身として学生を守る覚悟を胸に刻み込んだ。
教授が手を合わせて頭を下げたので訳もわからないままに追随したが、殉職した小学校教師の碑だと聞いて、他人事ではなくなった。
遠足中に上水に落ちた生徒を助けようとして飛び込んだが、濁流にのみ込まれて帰らぬ人になったのだという。
まだ33歳の若さだったらしい。
それは大正8年のことで、美談として評判になったということだった。
「危険を顧みずに生徒を救おうとしたその勇気を称えて碑が建てられたの」
教授がもう一度手を合わせて頭を下げたので、わたしも心を込めて手を合わせて頭を下げた。
そしてご冥福を祈りながら、同じ教える身として学生を守る覚悟を胸に刻み込んだ。