『准教授・駿河台ひばり』 ~変人・奇人の時代~  【新編集版】
変人・奇人の時代
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 前回先見邸にお邪魔してから1か月が経った。
 8月2日。日曜日。
 今日も朝からまっ晴れで、雲一つなく、最高気温は31度、降水確率はゼロパーセントと予報が出ていた。
 テレビのニュースは相変わらず新型コロナ関連ばかりだった。
 感染者が急増して1,500人を超え、1,000人を超えるのは4日連続だとアナウンサーが伝えていた。
 東京は500人に迫っており、都知事は都独自の緊急事態宣言の検討が必要かもしれないと危機感を露わにした。
 大阪と福岡も例外ではなかった。
 感染者数が100人を超えていた。
 両知事には不気味な足音が聞こえているようだった。
 沖縄でも感染者数が急増していて、直近1週間の人口10万人当たりの感染者数は全国最悪になっていた。
 沖縄県知事は医療体制の崩壊が目前であるとして強い危機感を表し、感染者が多く出ている地域からの訪問は控えて欲しいと訴えた。
 
 最近の全国的な感染者数増加は世論の反対を押し切って実施した『Go Toトラベル』が悪影響を及ぼしているのではないかと言われており、経済との両立に舵を切った政権に対する疑念が報じられていた。
 その上、感染者数ゼロが続いていた岩手県も7月29日に初の感染者が報告され、日本全体に先の見えない憂鬱感が漂っているように思えた。

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