御曹司たちの溺愛レベル上昇中




「あ、皆お帰り」



微笑む雪さんに、響くんチェックが入る。




「……うん、泥だらけになってないね。ちゃんと手も洗ってあるし。合格」


「やった」



嬉しそうに小鳥遊くんの隣へ、すごい端っこだけど雪さんも座って四人が揃った。


話題は引き続き夏休みの……と思った途端に、響くんはあのことを切り出す。





「夏休み話もいいけど、颯くん。ここ最近様子がおかしいのは何で?」





「……は!?」





……知ってはいたけど、響くんがわりとまっすぐな言い方をするのは。

でも、この場で小鳥遊くんに聞くとは思ってなかった。
多分雪さんもわたしと同じ心境だと思う。




答えなよ、と言わんばかりの響くんに、
目を泳がせ、口ごもる小鳥遊くんを


はらはらして、二人を交互に見つめているから。




「ぶっちゃけそわそわしてる感じが気になってたんだけど?誰かに何か言いたいんですか?」



「それは、そのだな……」





言わないと解放されない空気感。


その中で、小鳥遊くんはわたしを指差した。





「……小柳さんに言いたいことがあるの?」




響くんとは違って、優しく問う雪さんに小鳥遊くんは頷いた。

なんとなく、教室でのことでそう思ってたけど。


わたしたち三人の視線が小鳥遊くんに集まる中、小声で小鳥遊くんは呟くようにして言った。





「……名前」






──名前?







< 102 / 154 >

この作品をシェア

pagetop