御曹司たちの溺愛レベル上昇中
ばいばい
今週末から始まる夏休み。
その前にアパートに行くなら今だと、日曜日の朝。わたしは家の中を忍び足で歩いていた。
汚いサンダルを手に一階におりて、共有ルームにもキッチンにも誰も居ないことを確認してから勝手口へ。
静かに扉を開けて、ガーデニングコーナーをチェック。
──雪さんは……いない。
サンダルを履いて倉庫の脚立を──
「わっ!?……んぐっ!」
勝手口のドアを閉めた時、倉庫から颯くんが出てきて大きい声が出てしまった。
すぐに颯くんの手に封じられたけど。
「……何でっ──」
居るの?と聞こうとしたけど、颯くんの肩に脚立が抱えられていたのを見て、察した。
「お前の行動パターンだと、今日行くと思ったんだよ。当たりだろ?」
「……読まれてたかぁ。そうです」
響くんは本屋に行くと聞いてたし、雪さんは……寝てる?と予想して。
颯くんはまだ寝てるとふんだんだけど……
「三人で行くとまた俺やる俺やる!ってなるからな。響も雪兄も居ない今のうちに行くぞ」
「えっ、あぁうんっ」
ほらほら、と颯くんに背中を押され、わたしたちは二人でアパートに向かった。