御曹司たちの溺愛レベル上昇中
だけど──
「……よしっ!ほらキャッチしろよー」
木の上から投げられたボールは弧を描いて、男の子の腕の中におさまった。
木をおりる一歩一歩におどおどしながら待っていると、颯くんは少し上から飛び降りる。
「っと」
「お兄ちゃんありがとう!」
「かっこよかった!」
「こわくないのー?」
すかさず子供たちが颯くんを楽しそうに囲む。
本当わたしだけこんな心配して……怖いとかより凄いとかが上回る子供の純粋さが羨ましいなぁ。
「怖くねぇけど真似すんなよ?」
「うん!」
「お兄ちゃんもやろうよ!ドッジボール!」
「え、いや俺は……」
戸惑いながらわたしに視線を送る颯くんに、大きく頷いて見せた。
「がんばれー」
応援するように拳を上にゴーゴー、としてやれば、颯くんは子供たちに向くと、
「んじゃやるか!負けねーかんなぁ!」
「やったぁ!」
軽く屈伸や指を解して、ドッジボールにまざり遊び始めた。
──座って見よっと。
「うわぁ!」
「きたぁ!」
「ほら行くぜー!」
……楽しそう。
子供たちにまざっても、子供のように楽しんで遊んでる。
ちゃんと力加減とかしてるのは投げたボールを見れば分かるけど……
「うぉ!?あぶねっ!」
本気で避けてるのも伝わるなぁ。
「……ふふっ」
なんだか微笑ましくて、子供たちのもう一回やろう!に何度か付き合う颯くんの姿をベンチで眺めた。