御曹司たちの溺愛レベル上昇中














「うわっ!?」


「っ!」










玄関の電気をつけた途端──







膨れっ面の響くんがわたしたちを出迎えた。








「な……なんだよお前、電気くらいつけろよ」


「ごめんね?夜ご飯急いで支度するからっ」






でも響くんの謎の威圧感に、わたしたちは靴を脱ぐに脱げないまま──


響くんは腰に手をあてるとわたしたちを見下ろし、口を開いた。












「二人で行ったでしょう」










……聞かなくとも、アパートのことだよね?


出掛けてた響くんには分からないと思ったけど……





「お前なんで知ってんの?」





あっ──






「村田さんから連絡来た。琉衣さんのアパート、無事片付け終了しましたって」






だよね。気付いた。


さっき自分で村田さんに伝えたんだから、手伝ってくれた響くんや雪さんにも、連絡がいくのは普通だ……





颯くんは携帯を確認すると、





「あ、マジだ。全然携帯見てなかったわ」


「……わたしにも返事来てた」


「夢中で遊んでたから気付かなかったな」






へらっとわたしと顔を見合わせて笑うも、目の前の響くんの圧がわたしたちの能天気とも言える雰囲気を消していく。




「ふーん……二人でアパート行って二人で遊んだの?」


「遊んだのは子供たちとだけど。小柳は見てただけだぜ?」





このやり取りが長引きそうな予感に、わたしは無理矢理靴を脱いで上がった。








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